民法改正がシステム開発契約に及ぼす影響 | 定年起業のためのウェブコンサルティング

民法改正がシステム開発契約に及ぼす影響

契約

民法が改正され、システム開発契約に大きな影響を与えそうです。改正案は2019年ごろに施行される見込みです。

瑕疵担保責任

瑕疵担保責任とは、請負契約で納品された成果物に問題があった場合、納品から1年以内であれば、発注側が受注側に無償で修正することや損害賠償を請求できることです。

改正案では瑕疵担保責任は条文から削除されます。代わりに契約不適合という言葉が使われます。

契約不適合の成果物が修正されない場合、受注側に支払う代金の減額を請求できる代金減額請求権が加わります。

大きく変わるのは、請求の起算点と期間です。不具合が有る事実を知ったときから1年間、上限は引渡しから最大5年以内となります。

開発後に保守・運用契約を結んでいる場合は、大きな影響はないかもしれません。システムに問題が見つかれば、受注側は直さざるを得ません。

単発のシステム開発契約では、無償で直さなければならない期間が、5年に延びることになります。

プロジェクト中断

改正案では、プロジェクトが中断した場合でも、支払い義務のあることが明文化されます。

途中まで作成した成果物で利益が得られている場合は、一定の割合で報酬を受け取ることができます。例えば、開発を中断したシステムを別の会社が引き継いで完成させた場合などです。

これは、判例に民法が合わせたものです。

準委任契約に成果完成型

準委任契約とは、業務を処理することを約する契約です。完成責任はなく、労働力や技術力を提供するものです。

改正案では、準委任契約で成果に対する報酬を支払う契約を結ぶことができます。完成責任も伴うため、請負契約と酷似しています。

おわりに

瑕疵担保責任が契約不適合と名前を変え、引渡しから5年間は無償で修正しなければならないことが、システム開発では一番大きな影響になりそうです。

ただし、契約自由の原則があります。契約次第で無償修正期間を変更することはできます。

ソフトウェアは開発前に詳細まで決まっていることはありません。概要設計、詳細設計、製造と進んでいく中で、新しい要望が見つかり、新しい機能を盛り込みたくなります。

そのため、開発フェーズ別の多段階契約とするか、準委任契約の履行割合型にすることが、望ましい契約です。各開発フェーズの終了時に、次のフェーズの計画を話し合い、合意しながら進めていく方法です。

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