「垂直統合型システム」はユーザー企業の救いの神となるか?

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日経コンピュータ2012年6月7日号によると、大手メーカーとクラウド事業者による「垂直統合型システム」を提供する動きが加速しているとのことです。

米IBMによる「PureSystems」、米オラクルの「Oracle Engineered Systems」、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)大手の「Amazon Web Services(AWS)」がその製品としてあげられています。

20年ほど前、メインフレームからオープンシステムへの移行に伴い、ユーザー企業はメインフレーマーの囲い込みから解放されると期待されました。

マルチベンダー構成による価格競争により、ITコストを削減できると考えられました。

しかし、システムは複雑化し、インテグレーションや運用の工数がかかり、システムライフサイクル全体のコストは、かえって増大しました。

そうした中で、クラウドサービスによりハードウェアとソフトウェアから運用まで全体を委託する動きも出てきました。「垂直統合型システム」は、クラウドサービスと同様にハードウェアとソフトウェアから運用までを含んだ製品です。

初期のオープンシステムと比較すれば、現在はミドルウェアやデーターベースの標準化が進んでいます。

そのため、ベンダーの変更は容易になり、クラウドサービスや垂直統合型システムを採用しても、そのベンダーに囲い込まれることはないように思えます。

しかし、実態はハードウェアとソフトウェアから運用まで、ある特定のベンダーに頼った場合は、そのベンダーに囲い込まれていることと大差ありません。

オープンシステムではバージョン間での互換性がないことを考慮すると、新システムへの移行などの場合は、たとえ同じベンダーであっても、メインフレームでベンダーを変更するよりも、複雑なプロジェクトとなります。

ユーザー企業にとっては、垂直統合型システムは画期的なものではありえず、自らインテグレーションや運用を実施するか、委託するか、クラウドサービスを利用するか、垂直統合型システムを購入するかの判断において、単に選択肢が一つ増えたにすぎません。

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