煽り過ぎです!『キャリアポルノは人生の無駄だ』

キャリアポルノは人生の無駄だ

キャリアポルノは人生の無駄だ』とは、刺激的なタイトルですが、それに惹かれて読んでみました。

キャリアポルノとは

キャリアポルノとは著者の造語です。

フードポルノという食べ物を食べることが目的ではなく、見ることでストレスを発散したり、食べることの代償行為とする言葉から作られました。

すなわち、キャリアにおける成功の代償行為として、自己啓発書を読むことを指しています。

この定義に従えば、キャリアポルノは人生の無駄であることに異存はありません。

自己啓発書に限らず、本を読んでも何も行動せず、単なる代償行為とするだけであるならば、人生の無駄以外のなにものでもありません。

米国や日本で自己啓発書が売れ、ヨーロッパであまり売れないのは、ヨーロッパがいまだに階級社会だからです。日本も一時期に比べれば階級間の流動性がなくなっていますが、まだまだ競争があります。

このあたりまでは同意しますが、本書には首をかしげたくなる記述が随所にあります。以下にそれを述べていきます。

日本を知らない?

ヨーロッパでは人々は生活を楽しみますが、日本には生活を楽しむ人はおらず、皆が競争に明け暮れているかのような記述があります。

著者が日本の一部の生活しか知らないか、あるいは本を売るための誇張だと思います。日本にも、競争よりは生活を楽しんでいる人たちは間違いなくいます。

マズローの5段階人間の欲求説における最上位にある自己実現の欲求は、当然、人により異なりますが、著者が仕事以外の例として上げているものは不適切です。

小説を書くことや家族に食事を作ることを自己実現と感じる人はいるでしょうが、裸で外を行進したり、鞭で叩かれたり、ハイヒールを収集することは、好みの問題です。それを自己実現の手段と考える人はいないと思います。

このあたりは、面白おかしくするために書いているだけかもしれませんが、本書では、日本にいる自己実現を仕事をすることで成し遂げようと考える人を問題視していますので、自己実現の例は妥当な範囲に留めるべきです。

働く時間は、多くの人にとって人生において最も時間をかけることですから、自己実現を仕事を通して成し遂げようと考える人が多いのは当然のことです。

むしろ、仕事は単なる労働力を提供して金を得るための手段であり、自己実現は別の所で成し遂げると考える人に、違和感を感じます。

ドイツのワイマール共和国時代のスローガン「働けば自由になる」と「労働こそが自己実現である」という考えは、似ているかもしれません。しかし、自己実現を仕事を通して成し遂げようという考えとは明確に異なります。

「真似っこ原理教」と名付けて、真似をすることを批判していることも理解に苦しむところです。

はじめはなんでも真似からはじめるのが効率的です。まず、先人の真似をして、次は自分なりの工夫をするからこそ、先人を追い越すことができるわけです。

原理、原則、法則がない?

著者が、自己啓発書には一般的な原理、原則、法則のようなものは書かれておらず、個人の成功体験や個別の成功事例だけをあつかっているかのように書いていることにも違和感を覚えます。

著者の自己啓発書の定義がそうなのかもしれませんが、自己啓発書の例には、マーカス・バッキンガム、ドナルド・O・クリフトンの『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす』もあがっています。

この本は、私も読んでいますが、社会的に成功したといわれている人の資質を34個にまとめ、自分の持っている資質を活かすことを勧めています。

とても著者のいう真似をしようとしてもできないキャリアポルノの対象となる本には思えません。

キャリアポルノの定義が変わってる!

本の後半では、キャリアポルノという言葉も、最初の定義と異なり、自己啓発書と同義で使われています。

そのため、自己啓発書を読んで代償行為とすることが人生の無駄という当初の主張と異なり、自己啓発書を読むこと自体が人生の無駄と言っているようにとれます。

一読した感想としては、読み手の歓心を買うために、例の提示や論理展開が乱暴になりすぎている本であり、向上心の高い人を見下している印象を与えます。

自己啓発書を読んでもキャリアの成功の代償行為とするだけでは、人生の無駄だという主張も素直に伝わってきません。

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