日本の会社の出世の秘密!『日本の人事は社風で決まる』

日本の人事は社風で決まる

あなたの会社では、皆が優秀だと認めている人が出世していますか?必ずしもそうではないと思います。出世する人としない人の違いは、どこにあるのでしょうか。

会社で出世する人としない人の違いは、社風にあっているかどうかの違いだということです。そのポイントを紹介します。

1.社風とは

社風とは、空気のようなもので、説明しにくい暗黙知です。ビジネスにおける顧客との距離、誰が株主か、会社の歴史の3つで決まります。

官僚組織のような顧客から遠い組織では、杓子定規、形式主義、非効率、専横的という、いわゆる官僚的な社風になります。スーパーやコンビニなど顧客に密着する小売業では、フラットで環境変化にすばやく対応する体育会系的な社風になります。

同じ業界でも、トップの会社と2番手の会社、3番手の会社は社風が違います。トップの会社は、金持ち喧嘩せずとリスクを取らない社風となります。2番手の会社は、立場をわきまえたスマートな社風となります。3番手の会社は、なりふり構わぬ野武士的社風となります。

オーナー系企業では、オーナーの成功体験が社風に影響します。社風は、会社の経験則、成功体験の集合体となります。

2.人事の秘密

(1)客観的評価

一般的には、どの会社も客観的人事評価を目指します。その手段として、高い業務成績と相関関係の高い行動特性を整理し、社員が各項目についてどのくらい該当するかで評価するコンピタンシー評価などが用いられます。

(2)成果主義

90年代のバブル崩壊以降、成果主義の導入が叫ばれました。しかし、成果主義はリストラの方便にすぎませんでした。また、短期・結果至上主義となり、中長期的観点からの行動がとられなくなりました。

そのため、成果主義は多くの日本企業には根づきませんでした。そこには、年功概念の問題や儒教の精神に基づく日本人のメンタリティも影響しました。

成果主義を導入し継続した会社では、部門間の対立、同僚間の落とし合い、社員のうつ病の多発など、多くの問題に悩まされるようになりました。

(3)目標管理制度

業績評価の方法として、ほとんどの企業で目標管理制度を採用しています。期の初めに上司と部下が相談して業務目標を決めます。期末における達成度合いで評価が決まり、ボーナスの金額や昇進・昇格に影響を与えます。

目標管理制度も、仕事の難しさが反映されない、目標が恣意的に低く設定されてしまうなどの問題があります。その結果、総合評価がS・A・B・C・Dの5段階で行われても、Sが10%、Aが60%、Bが30%と3段階に収斂され、評価の中心化、寛大化が起きます。

(4)360度評価

360度評価というものもありました。上司だけでなく、部下や同僚、場合によっては顧客も含めて周りの関係者が仕事ぶりや行動を評価する仕組みです。

360度評価が生み出したものは談合でした。一致団結してお互いに一番いい評価をつけるといった現象が多発しました。その結果、360度評価は処遇に結びつけずに、自己分析のツールとして使われるようになりました。

(5)評価方法

客観性をうたうコンピタンシー評価でも、各項目の評価の基準はあいまいです。お気に入りの部下には甘い評価になります。人事評価は結局、上司の「好き・嫌い」に近い感覚的なものになります。

成果主義は、じつは人物主義となりました。成果ではなく、社員の保有する潜在能力を評価するようになりました。人物主義というあいまいな基準は、やはり評価者の「好き・嫌い」に基づくものになります。

目標管理制度では、評価の中心化、寛大化が起きるため、表向きは同じSでも、順番をつけ、ボーナスの金額にも差をつけます。そのため、社員を相対的に評価し、順番をつけます。相対評価は、人を基準に行われ、やはりここでも評価者の「好き・嫌い」で評価されることになりました。

人は自分と似たタイプを好む傾向があります。自分に似たタイプを残そうとします。そのため、自分の好きな部下を高く評価することになります。

その結果、人を通じて企業としてのカルチャー、すなわち「社風」が受け継がれていきます。

まとめ

日本の会社の人事を特徴づけるのは、新卒一括採用と終身雇用です。終身雇用は社員を簡単にはクビにできない法制度に基づいています。

その結果、会社に余裕がある限りは、社内でじっくり育て、年功型の処遇で報い、定年近くまで家族的に面倒を見るということになります。

社員に求められることは、ずっと一緒の職場でやっていくうえで気心が知れて仕事のできることです。上司は自分と同じタイプの人を高く評価します。

結局、一緒に仕事をして違和感のない「自分に似た人」「いかにも当社の人」が評価され、それはとりもなおさず社風にあった人を選ぶことになります。

本書の主張である「社風にあった人が出世する」ということは、大いに納得がいきます。会社の事業目標を達成するために努力を重ね、必死の思いで目標を達成した人よりも、周りの人と軋轢を起こさず、空気を読んでうまくやる人の方が高く評価されます。

人事の表と裏を改めて認識した次第です。また、社風にあった人が出世するからこそ、内向きでなあなあで済ませようという意識が働き、オリンパスのような事件も起きます。

日本企業は、少しづつの変化であれば対応できますが、急激な大きな変化に襲われた時には対応が難しくなります。同質の人ばかりが残っているためです。異質な人は排除されますから、事業環境が大きく変化したときには、変化に対応できません。会社を傾かせる原因にもなります。

日本企業が大きく変わるためには、内部の人間が大きく入れ替わり、社風自体が変わることが必要になります。

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