Apple Payが日本で普及することのない6つの理由

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【2016年9月9日追記】
iPhone 7 / 7 Plusは、FeliCaに対応しました。そして、FeliCa対応を含めてApple Payと呼んでいます。この記事のApple PayはFeliCa対応していないものを指しています。
【2016年9月9日追記ここまで】

iPhone 6 / 6 Plusと同時に新たな決済サービスであるApple Payも発表されました。ところが、Apple Payが日本で普及することはありえません。

Apple Payの仕組み

Apple Payは、クレジットカードをiPhoneに登録し、お店の支払端末にかざして、指紋認証ボタンにタッチするだけで決済できます。

支払に必要なカード情報は、iPhoneアプリのPassbookに保存されます。iTunesを使って入力するか、iPhoneのカメラでカードを撮影することで登録できます。複数のカードを登録することも可能です。

決済時にはその取引でのみ有効なセキュリティコードと端末アカウント番号だけが送信されるため、カード情報がお店に伝わらないことが大きな特徴です。Appleにカード利用状況が保管されることもありません。

登録したカード情報は暗号化され、iPhoneの紛失時には、「iPhoneを探す」から利用を解除することができます。

こんなに便利なApple Payですが、日本で普及することがないのはどうしてでしょうか?

クレジットカード利用率

日本のクレジットカード利用率は12~14%と欧米の30~50%に比較して低いと言われています。クレジットカードを使えない小売店が多いこと、日本では現金を持ち歩いてもそれほど危険でないことなどが理由と言われています。

加盟店手数料

クレジットカードの使えない小売店が多い理由としては、加盟店手数料が高いことがあります。

加盟店手数料が高くては、小売店としてはクレジットカードを扱いたくないのは当然です。クレジットカードを扱うことによるお客様の増加と加盟店手数料の見合いから判断することになります。

加盟店手数料は、一般に米国では売上高の2~3%とされていますが、日本では3~5%、店によっては10%を超えているところもあります。

現金払いとクレジットカード払いで金額を変えることは、加盟店とクレジットカード会社との契約で禁止されているはずですが、おおっぴらに変えている店もあります。

家電量販店などでは、現金払いとクレジットカード払いで付加するポイントに差をつけています。

日本の加盟店手数料が高い理由は、当初、銀行系クレジットカードではリボ払いを認められていなかったためと言われています。銀行系クレジットカードでは、リボ払いによる金利収入が見込めず、加盟店手数料を高くせざるを得ませんでした。

しかし、現在は認められていますから、現在でも加盟店手数料が高い理由にはなりません。

日本のクレジットカード利用者には、リボ払いによる無駄な金利の支払いを嫌う人が多いため、リボ払いの利用者が増えず加盟店手数料が高止まりしていると考えるのが妥当です。

加盟店に顧客データが残らない

Apple Payは、カード情報がお店に残らない仕組みです。セキュリティの面では好ましい方法ですが、顧客情報の収集という面ではお店にApple Payを使うメリットがありません。

加盟店にメリットがない

Apple Payを使うためには、専用のリーダー端末が必要です。ところが、日本ではクレジットカードの利用率が低いため、Apple Payによる支払いを可能にしても顧客の増加は見込めません。Apple Payでの支払いでは顧客情報も残りません。

加盟店にメリットがないため、Apple Payのリーダー端末を置くところが増えるとは思えません。

Appleの対策

AppleがApple Payのリーダー端末を無償で提供したり、加盟店手数料の一部をAppleが負担したりすれば、Apple Payでの支払いができる小売店は増えるとは思います。

しかし、Apple Payでの支払いができる小売店が増えても、iPhoneの売上が増えることにはなりません。すなわち、Appleに利益をもたらすことにはなりません。

加盟店手数料が高く、クレジットカード利用率の低い日本では、Apple Payの普及はありえません。

モバイルSuica

「おサイフケータイ」のモバイルSuicaはよく使われています。モバイルSuicaが使えるからiPhoneではなくAndroidを使っている人もいます。

「おサイフケータイ」はFeliCaを使っており、NFCを使っていても、Apple Payとは規格が違います。

Appleとしては、iPhoneでFeliCaをサポートし、モバイルSuicaを使えるようにする方が、日本でApple Payを普及させようとするよりもはるかに得策です。

この意味でも、Appleが日本でApple Payを普及させようとすることはないと言えます。

【2014年10月28日追記】
Apple Payのリーダー端末はクレジットカードの共通規格であるEMV仕様を採用しているという指摘がありました。

そのため、VISA payWaveやMasterCard PayPassが決済できるリーダー端末であればApple Payは決済できるということです。

そうだとすると、EMV仕様のリーダー端末が今後どれだけ普及するかで、Apple Payが普及するかも決まってきます。

EMV仕様のリーダー端末を増やしてから、対応するクレジットカードを増やすという戦略をとるでしょうが、加盟店がリーダー端末の更新に積極的になるかどうかわかりません。

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