知識不足につけ込まれないために!『Web業界発注制作の教科書』 | 定年起業のためのウェブコンサルティング

知識不足につけ込まれないために!『Web業界発注制作の教科書』

Web業界発注制作の教科書

Web制作には、さまざまトラブルがあるようです。『Web業界 発注制作の教科書 Textbook for order production Web industry』では、発注者の立場でWeb制作にかかわった場合のトラブル事例と法的解釈を紹介しています。

まず、私の印象に残ったトラブル事例を紹介します。

ホームページリース

ホームページリースとは、ホームページ作成用ソフトウェアなどのリースの形をとる契約です。

「月々のサポート料金だけで、ホームページを無料で作ります」と売り込みます。初期費用なしで、ホームページができるというメリットを感じさせます。

実態は、長期間の高額なリース契約で、ホームページの作成やサポートは必ずしも満足のいくものではありません。

リース契約のため、解約しようとすると、残期間分のリース料の支払いを要求されます。

ホームページ作成会社とリース契約を結んだ会社が別の会社の場合、どうしようもありません。普通は、リース契約はリース会社と結ぶため、別の会社になります。

リース会社はリース契約に基づいた支払だけを要求してきます。

ホームページ作成会社はすでにお金を全額受け取っていますから何もしません。契約書にはホームページ作成会社がやらなければならないことは、何も書いていません。

法的に解決が難しく、以前から業界内でも問題視されているそうです。

ほとんど詐欺のような契約です。

注意深い人であれば、契約内容が実態と異なり、受注側にきわめて不利な契約であることに気づくかもしれません。

しかし、多くの人は引っかかってしまいそうです。

会社の変更でサーバーもドメインも解約

月額制のメンテナンス契約を結んでいるWebサイトの制作会社を変更しようとしたら、「サーバーもドメインも同時に解約になります」と言われたそうです。

ドメインが変わるといままでホームページを見に来た人が見られなくなります。名刺等に記載したURLも変更しなければなりません。

それ以上に、苦労して築きあげたGoogleの評価がゼロになります。検索からのアクセスがゼロに戻ります。

ドメインが独自ドメインであれば、折衝によりドメインの名義を譲り受けることができるかもしれません。

しかし、ドメインがWebサイト制作会社のサブドメインの場合は、制作会社を変更することは自動的にドメインが変わることになります。ドメインを使い続けるためには、制作会社との契約を続けるしかありません。

制作会社のサブドメインを使うということは、Webサイトの生殺与奪の権を制作会社に握られていることになります。制作会社を変えることは不可能になります。

サーバーはデータ等を移行すればなんとかなりますが、それなりに手間がかかります。

発注側に知識がなければ、サーバーもドメインも制作会社にまかせてしまい、制作会社の名義にされてしまっても気づきません。

受注側の知識不足が、きわめて不利な条件での契約を結んでしまったと言えます。

上記のホームページリースと組み合わさっていたら、目も当てられません。

ブラックハットSEOの失敗

Webマーケティング会社にSEO対策を発注したところ、逆に大幅に検索順位が下がってしまったそうです。

損害賠償を請求した裁判で、発注者側の弁護士は次のような主張をしました。

「ブログを量産してバックリンクを貼るようなSEO対策は、Googleからペナルティを受ける可能性が高いブラックハット的手法である。ブラックハット的手法の採用は、善管注意義務に違反する。」

著者は弁護側で次のような主張をしたそうです。

「当時のSEO業界では一般的な手法であり、Googleのペンギン・アップデートは予見できなかった。よって善管注意義務には違反していない。」

判決では弁護側の主張が認められたそうです。

一般にSEO対策の発注では、発注者側の知識は、受注者側に及びません。そうでなければ、SEOを自分で実施し発注しません。

知識や経験に大きな差がある中で、発注者側が受注者側の善管注意義務違反を立証することは、難しいのが現実です。

感想

どこまでが契約の範囲内か、品質が悪い、納期が遅れる、費用が高いなど、Webサイト制作には、私が長年携わってきたシステム開発業界と同じ問題が発生しています。

それらは、規模が小さいためか、システム開発業界よりも単純に見えます。

しかし、上にあげた3つのトラブルは、Web制作業界ならではの問題です。基本的に受注側の知識不足に発注者側がつけ込んだ問題です。

これらの問題を避けるためには、受注者側も十分な知識を身につけるか、信頼できる人なり会社なりを見つけることが大切です。

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