エンジニアをボランティアで働かせるという発想の貧困さ | 定年起業のためのウェブコンサルティング

エンジニアをボランティアで働かせるという発想の貧困さ

エンジニア

少し前ですが、五輪のためにボランティアでエンジニアを働かせようという発言が、話題になっていました。その真意を聞くという記事もありました。

「五輪にはボランティアで働けるエンジニアが必要」発言の真意を聞く – ZDNet Japan

発言の趣旨は次のようなものです。

2020年の東京五輪では、サイバー攻撃が懸念される。ところが国はそれに対し費用を出す計画がない。

その防衛のためにエンジニアを育成する予算を政府に獲得してもらい、そこで育成されたエンジニアが東京五輪開催中の1カ月間ボランティアで働くという仕組みを提案する。

エンジニアの育成を政府が無償でやるから、そのかわりにエンジニアは恩返しとして、1カ月ボランティアで働く。

これに対し、なぜエンジニアがボランティアで働かなければならないかと炎上していました。

発言の論理はよくわかりません。

国はサイバー攻撃に対する防衛に費用を出す計画がないと断言していますが、そのためのエンジニアの育成には費用を出すことを期待しています。

政府や業界、企業の危機意識が低すぎると思うならば、そこを啓蒙し、サイバー攻撃に対する防衛予算をつけさせれば、話は単純です。

「無償で教育するから、無償で働け」と言うから、話がややこしくなり、反発も大きくなります。

この発想は「Interop Tokyo」のイベントで、ボランティアがたくさんいたことから出てきたようです。

そのイベントでは学ぶものが多く、人脈も広がるため、ボランティアがたくさん集まったのです。学生たちのモチベーションが大きく異なります。

サイバー攻撃からの防衛は、五輪の期間だけ行えばいいものではありません。今現在も攻撃されていることは、発覚し報道された事件から考えても間違いありません。

サイバー攻撃への対応は急務であり、5年間エンジニアの育成を待っているわけにもいきません。政府も企業もすぐに対応が必要です。

この問題は、サイバー攻撃の危険性を広く知らしめ、対策を取らせる方向で進めるべきものです。

エンジニアの待遇にも話はおよんでいますが、優秀なエンジニアは昔から不足しており、需要が供給を上回れば、給与は底上げされるはずです。

そのようにならないのは、ITゼネコンの政府や大企業からの受注が、過当競争に陥っているためです。その結果、多重下請け構造の底辺では、非常に低く賃金が抑えられます。

エンジニアは、受託業務以外の、需要が供給を上回る市場で働けば、需要に応じた収入を得ることができます。そのためには、顧客の課題を見つけ解決策を提案・実行できるスキルが必要です。

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