Apple Payが日本に上陸しても、普及することはない理由 | 定年起業のためのウェブコンサルティング

Apple Payが日本に上陸しても、普及することはない理由

電子マネー

【2016年9月9日追記】
iPhone 7 / 7 Plusは、FeliCaに対応しました。そして、FeliCa対応を含めてApple Payと呼んでいます。この記事のApple PayはFeliCa対応していないものを指しています。
【2016年9月9日追記ここまで】

日本では普及の兆しが見られなかったApple Payが、9~10月に日本国内上陸という記事がありました。

モバイル決済の黒船”Apple Pay”の日本国内上陸は’16年9~10月か、関係各所の動きを読む:モバイル決済最前線 – Engadget Japanese

Apple Payとは、iPhoneに登録したクレジットカードで決済するシステムです。

Apple Payが日本で使えるようになるためには、いくつかのハードルがあります。

決済端末の対応

まず、決済端末の対応です。

コンビニなどに設置してある決済端末が、Apple Payに対応しなければなりません。この部分について、上の記事では次のように説明しています。

Apple Payの国内ローンチで最大の問題となるのは、店頭での決済(対面決済)における決済端末の対応だ。多くが知るように、日本国内でインフラとして浸透しつつある非接触決済技術は「FeliCa」をベースとしており、Apple Payのベースとなっている「Type-A/B」系の技術とは互換性がない。現在ではFeliCaとType-A/Bの両方の方式に対応した決済ターミナルが各社からリリースされており、古い世代の端末ではハードウェアの入れ替えの必要があるが、比較的新しい世代の決済ターミナルはハードウェアの変更なしにそのままApple Payに対応可能だ。

比較的新しい世代の決済ターミナルは、日本で普及しているFeliCaとApple Payの採用しているType-A/Bの両方に対応しているということです。

それでも、ソフトウェアの改修作業が必要で、半年~1年ほどの期間が必要です。

しかし、この記事には、FeliCaとType-A/Bの両方に対応している決済ターミナルが、どの程度普及しているかが書かれていません。

ソフトウェアの改修作業の状況も「思った以上に遅い」と書かれています。

2016年に国内でのサービス開始を目指しているという内部文書がリークしただけかもしれません。

交通系ICカード

ところで、あなたは電子マネーをどこで一番使いますか?

私は、圧倒的に電車に乗るときです。オートチャージにしたpasmoを使っています。pasmoが使えるコンビニやお店であれば、現金ではなくpasmoを使います。小銭のやりとりがなく便利だからです。

しかし、スーパーではpasmoが使えても使いません。私がよく行くスーパーでは、pasmoの支払いでは通常0.5~5%付くポイントが付かなくなるからです。

その他では、QUICPayやクレジットカードが使えるときは使います。

さて、Apple PayがSuicaやpasmoのような交通系ICカードを置き換えることはあるでしょうか?

私はありえないと思います。

交通系ICカードはプリペイド方式です。乗車駅の情報をICカードに書き込み、下車駅で素早く運賃を引き落とします。この間、0.2秒以内です。

上位サーバーがダウンしても運用できるように、自動改札機だけで料金の引き落としができるようになっています。

これをApple Payで実現することは不可能です。上位サーバーにアクセスしていては、処理時間が間に合いません。高い信頼性も実現できません。

Apple Payでできることは、せいぜいオートチャージの部分をApple Payから支払うようにするぐらいです。

そして、そのためだけでも、自動改札機の入れ替えが必要です。

日本ではクレジットカード利用率が低い

さらに、日本ではクレジットカード利用率が12~14%と欧米の30~50%と比較して低いという問題があります。

理由は加盟店手数料が高いためです。日本ではリボ払いによる金利収入が低いため、加盟店手数料が高くなっています。日本にはリボ払いの無駄な金利支払いを嫌う人が多いためだと思います。

小売店にとって、Apple Payを使えるようにするメリットは売上増加しかありません。クレジットカードの利用率が低い日本では、あえてApple Payのリーダー端末を置こうという小売店は百貨店ぐらいだと思います。コンビニでApple Payを利用可能にしても、売上増加に結び付くとは思えません。

まとめ

Apple PayはiPhoneにクレジットカードを登録して、決済するシステムです。

Apple Payは交通系ICカードの代わりにはなりえません。

日本ではクレジットカード利用率は欧米の半分以下です。小売店は売上増加が予想できない限り、Apple Payのリーダー端末を導入するメリットはありません。

Apple Payはクレジットカード決済の一部を置き換えるだけです。Apple Payが使われるとしても百貨店ぐらいです。

そのため、Apple Payが日本で普及するとは思えません。

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