転売は商売の基本なのに、なぜダフ屋は違法か | 定年起業のためのウェブコンサルティング

転売は商売の基本なのに、なぜダフ屋は違法か

チケット

アイドルのコンサートで顔認証システムによる本人確認が始まっています。

以前から、チケットの不正売買を防ぐため、ネットで転売が発覚したチケットは無効にされていました。新たな転売対策として、デジタルチケットと顔認証システムが導入されています。

チケットの転売は昔からあります。野球場やコンサート会場の外では、ダフ屋が声をかけていました。

しかし、ダフ屋はなぜ違法とされているのでしょうか?

安く買って高く売るのは、商売の基本です。株や不動産取引、卸業者、商社、すべて安く買って、高く売ることが、事業の根幹をなしています。

リサイクルショップ、金券ショップも同様です。最近、サラリーマンの副業として話題のせどりも同じです。

迷惑防止条例

ダフ屋を禁止しているのは、都道府県が規定している迷惑防止条例です。例えば、東京都の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」では、次のようになっています。

(乗車券等の不当な売買行為(ダフヤ行為)の禁止)
第二条 何人も、乗車券、急行券、指定券、寝台券その他運送機関を利用し得る権利を証する物又は入場券、観覧券その他公共の娯楽施設を利用し得る権利を証する物(以下「乗車券等」という。)を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、乗車券等を、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む。以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において、買い、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。
2 何人も、転売する目的で得た乗車券等を、公共の場所又は公共の乗物において、不特定の者に、売り、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは乗車券等を展示して売ろうとしてはならない。

引用元:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

電車の乗車券や娯楽施設のチケットなどを不特定の者に転売する目的で、公共の場所で買ったり売ったりすることが禁止されています。

ネットオークションでチケットを売り、逮捕されたというニュースもあります。

自分が使うつもりで買ったチケットであれば、都合が悪くなったときに、他人に売ることは禁止されていません。

ダフ屋が禁止されている理由

通常の商取引であれば問題のない転売が、ダフ屋では禁止されている理由は何でしょうか。

迷惑だからです。

ダフ屋の対象となっているものは、電車の乗車券や娯楽施設のチケットなど数が決まっているものです。たくさん売れるからと簡単に追加できるものではありません。

それをサービスの提供者が、利用者に適切と考える価格で売り出しています。サービスの提供者とすれば、人気の高いチケットであれば、かなり高額な価格を設定しても売れることはわかっています。

それをしないのは、そこまでのお金を出せない人にもサービスを提供するためです。アイドルのコンサートなどは、若い人も買えるようにリーズナブルな価格に設定されています。

そこに割り込み、チケットを買い占め、高い金額で転売することは、サービスの提供者にとっても、利用者にとっても迷惑以外の何物でもありません。

この迷惑行為を防止するものが迷惑防止条例です。

世の中には、不当な利益を得るからダメと考える人もいるようですが、不当な利益とは何でしょうか?

希少で価値の高いものであれば、売買価格が上がるのは当然のことです。どんなに高額で取引しようが、契約当事者の自由です。

そこにしか目がいかないと、ダフ屋の迷惑行為がわからなくなります。

ダフ屋は、サービス提供者が利用者のためにリーズナブルな価格で提供するものを、買い占め、転売することで、サービス提供者にも、利用者にも迷惑をかけています。

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