DXとは
DX(Digital Transformation)の定義については、さまざまなところで述べられています。
しかし、どれも抽象的で、DXが分かりにくい原因となっています。
言葉の定義をいじりまわしてもあまり意味はありません。
ある会社の改革をDXと言えるか、言えないかを議論しても、業績が上がるわけではありません。
DXとは、「ITにより、生活を良くすること」ぐらいにとらえておけばいいと思います。
企業にとっては、「ITにより、業績を向上させること」です。
ここで重要なことは、単にIT機器を入れるだけでは、生活を良くしたり、業績を向上させたりするとは限らないことです。
ITにより、以前は不可能であったことが、可能になりました。
ITが、社会を変え、生活を変えています。
さらに、ITの進歩は破壊的です。
新技術を使った競合他社が登場すると、それまでの仕組みを続けるだけでは、業績が大幅に落ち込むことがあります。
「これまで長い間やってきた方法で大丈夫だ。」
「仕組みを変えるなどリスクがあり怖い。」
などと考えていると、
社会が変わり、競合他社も力をつけ、
いつの間にかビジネスが成り立たなくなっている可能性があります。
このITが進歩した社会において、御社がどのようなお客様にどのような価値をどのように提供するか、それが新しいビジネスコンセプトになります。
企業の業績向上にはマーケティングの考えが欠かせません。
ITにより可能となったことを踏まえて、自社の強みを活かし、新しい価値をお客様に提供することが、企業にとってのDXです。
AIなどの最新の技術を使わなければならないというものでもありません。
例えば、料理店が「料理を冷凍し、ECサイトで販売する」というのも立派なDXです。
それまで、料理店に来た人にしか提供できなかった料理をECサイトで日本中に提供できます。
ライバルは日本中の料理店となりますが、珍しい料理、例えば日本ではなじみの薄い国の料理などであれば、その国の出身者やその国に旅行してもう一度食べたいと思う人などが買ってくれるでしょう。
別な例をあげると、ガソリンエンジンの部品を製造している会社があります。
10年後には、ガソリンエンジンの需要が大きく減少することは明らかです。
今のうちに新しい商品を開発しておかなければ会社は立ち行かなくなります。
そのためには、会社の強みを徹底的に分析し、それを活かした新商品を開発しなければなりません。
実際に、既に新商品を開発し、ECサイトでの販売を開始している会社もあります。
中小企業のDXの導入方法
DXを導入する場合、外部のベンダーに依頼するのではなく、内部の要員で実施することが理想です。
最初に考えるべきことは、御社の強みを活かし、御社のお客様にどのような価値を提供するかです。
また、競合他社と比較して、どのような優位点を作りあげるかです。
そのために、ITをどう使うかを考えます。
IT機器の導入が前提ではなく、御社のビジネスの改善方針を考えるべきです。
外部のベンダーは、どうしても、お客様の業績改善よりも、自社製品をどう使うかを考えてしまいます。
IT機器の導入が前提となってしまいます。
DXを外注しようというユーザーに対し、最新技術を盛り込んだ提案を行い、成果が出るかどうかなど考えずに自らの売り上げを上げようと考えるかもしれません。
しかし、一般に中小企業では人が不足しています。
内部の要員でDXを導入することは、極めて困難です。
そこで、代替案として、外部のパートナーと準委任契約を結び、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)として働いてもらうことをお勧めします。
新入社員の給与程度の金額でCIOを雇うことと同程度の効果があります。
CIOが中心となり、御社の経営戦略を策定し、DXを実現していきます。
また、クラウドシステムやIT機器の選択も、ベンダーに囚われずに、御社に最適な選択ができます。