「日本のソフトウェアは米国をしのぐ」どころか、大きく差をつけられました

東京のビル
「日本のソフトウエアは米国をしのぐ」から45年、一体どこまで来たのか:日経ビジネスオンライン』という記事がありました。

日経ビジネス創刊号(1969年10月号)の「日本のソフトウェアはここまで来た」という記事に次の一節があるそうです。

応用ソフトウエアに心配はない。これから米国をしのぐものができても不思議ではないと思う。人件費が安い。普通の事務処理用プログラム1ステップの値段は日本は200~300円だが、米国では5ドル(1800円)につく。したがって輸出のチャンスにも恵まれる

日本と米国のソフトウェアの比較

日本から米国に輸出したソフトウェアはほとんどなく、日本で利用されている汎用的なソフトウェアはほとんどが米国製です。

ソフトウェアの新しい概念も、日本で生まれたものは普及せず、現在広く使われている技術は、すべて外国から受け入れたものです。

1989年ごろTRONという日本製OSが話題になりました。しかし、小学校の教育用パソコンへの導入が、米国から圧力をかけられ実現しませんでした。結局、組込みシステム向けOSとして一部で使われただけでした。

素直な感想として、日本のソフトウェア技術は、米国に大きく差をつけられてしまったと思います。

ソフトウェア関連サービスについても、日本からの輸出はほとんどなく、人件費の安いインドや中国からの輸入は増えています。

日本のソフトウェアの優れている点

日本のソフトウェアで米国よりも優れたものがあるとすれば、特定の企業あるいは組織の業務プログラム開発において、きめ細かな機能を盛り込んでいる点ぐらいではないでしょうか?

これらの細かな機能は、米国では効率化や汎用化のために切り捨てられるものです。それを日本では、ベンダー企業がユーザーの要求のままに受け入れ実現しています。

日本では、ユーザー企業担当者の趣味ともいえる細かな機能を盛り込んだ複雑なシステムを開発しています。そのための設計、プログラミング、テストの力は、日本が米国よりも優れている点かもしれません。

また、わがまま一杯のユーザー企業担当者と、収益を第一に考えるベンダー企業のはざまで、両者の調整を行うマネジメント力も日本の優れた点かもしれません。

これからの日本のソフトウェア

これまで長い時間をかけて開発・運用・保守を行ってきたユーザーの業務システムがあるため、その運用・保守の仕事はしばらくの間なくなりません。

しかし、ソフトウェアの一括請負による受託開発は、ベンダー企業やソフトウェアエンジニアを疲弊させます。

一括請負では、金額と納期が受注時に決まり、その制約の中でユーザー企業とベンダー企業が争うことになります。

お互いにより良いシステムの開発を目指すのではなく、ユーザー企業は後から思いついた機能を組み込もうとし、ベンダー企業は原価低減のためにシンプルなシステムにしようとします。

日本の優秀なソフトウェアエンジニアが、この争いに巻き込まれたために、日本のソフトウェア技術が米国に大きく後れを取ったと言っても過言ではありません。

日本のソフトウェア業界はこの問題を解決することが第一優先です。

解決策はいくつかあります。ユーザー企業が、自らの基盤となるソフトウェアシステムを自社の要員で開発するために、ソフトウェアエンジニアを雇用するという方法があります。ソフトウェア開発の発注は一括請負ではなく、準委任契約とするなどの方法もあります。

それができてはじめて、日本のソフトウェア技術が米国に追いつくスタートラインに立ったと言えます。

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