定年後に対する考え方は大きく変わってきています。
悠々自適
1970年代までは、定年後は悠々自適と考えられていました。
55歳定年が一般的で、男性の平均寿命は75歳に届きませんでした。
定年後は年金を受け取りながら、残りの人生を楽しもうというイメージでした。
金利も高く、貯えの多い人は金利だけでも生活できたはずです。
産業廃棄物
1980年代に入ると、少子高齢化社会が進み、年金制度の破綻が懸念され始めました。
1986年に60歳定年の努力義務化が打ち出され、
1994年に60歳未満の定年制の禁止が法制化されました。(1998年施行)
このころから、定年後がネガティブに語られだしました。
定年退職後やることがなく家でゴロゴロして妻につきまとうところから「濡れ落ち葉」、
どこにでもついてくるところから「ワシも族」などの言葉が生まれました。
さらに「粗大ゴミ」や「産業廃棄物」という呼び方もありました。
そのため、定年後はたくさんの趣味を持とうと言われました。
屋内と屋外、一人と大勢の四象限に分け、
それぞれの象限で10以上の趣味が必要だと言った人もいました。
10年前ぐらいからは、定年後を漫然と過ごすのはもったいない、
長い時間を有意義なものにするためにどうするかという
問題提起をする本が出版され始めました。
会社側の都合
少子高齢化はさらに進み、年金もどうなるか分かりません。
政府は定年の引き上げを企業に求めています。
現在は、本人が望んだ場合は、65歳までの雇用が義務づけられています。
しかし、多くの企業は、いびつな年齢構成に悩んでいます。
バブル期に大量採用した社員が50代になろうとしています。
この世代をどのように処遇するかは、多くの企業の課題です。
これから高度経済成長期のような事業拡大は望めません。
以前のように子会社や関連会社、取引先などに出向・転籍させることも、ままなりません。受け入れ先が無くなっています。
おそらく政府は定年延長すると思います。
あるいは定年撤廃となるかもしれません。
しかし、企業には、それだけの人を抱えられる仕事がありません。
すると人件費を総額を増やさないように見直すしかなくなります。
定年延長となっても、経済的に安心だということにはなりません。
キャリアの考え方
それならば、いつまでも会社にしがみついても仕方がありません。
会社に自分のキャリアを預ける時代は終わりました。
自分のキャリアは自分で開発する時代です。
自分で自分のキャリアを計画し、
その時々に最適な仕事をすることが望ましいことです。
今勤めている会社以外にも広い視野を持ち、
自らのスキルを磨くことが必要です。