60歳以降の起業が増えています。
そんな人の中には、定年退職し、ありあまる時間を持てあまし、起業でもしようかと考える人がいます。
しかし、起業「でも」と考えていては、うまくいきません。そのぬるさ、覚悟のなさでは、成功はおぼつきません。
形式的に起業するだけなら簡単です。税務署に開業届を出すだけです。
会社を作ることも簡単です。自分で手続きをすれば、25万円もあれば株式会社を作れます。合同会社であれば、もう少し安くなります。手続きを代行してくれる会社もあります。
しかし、お客様がいなくては事業が成り立ちません。あなたの商品やサービスをお金を出してでも欲しいという人が必要です。
たいていの商品やサービスは、すでに扱っている会社があります。もしないとしたら、完全なブルーオーシャンであると考えるよりも、需要がないと考えた方が妥当です。
するとお客様は競合他社と比較します。競合他社と比較しても、あなたの商品やサービスを選ぶ理由がなければなりません。
圧倒的に安ければ、あなたの商品やサービスを選ぶでしょうが、事業を継続するためには、赤字を続けるわけにはいきません。
これらのハードルを越えるために努力が必要です。起業「でも」と考えていては、困難に突き当たったところで投げ出したくなります。
それを乗り越えるられるのは、起業をして成し遂げたいことに熱い思いがあるからです。情熱を持って、起業の目的に進んでいるためです。
また、好きなことで起業したからです。好きなことであれば、多少の壁にぶつかっても継続できます。壁を乗り越える気力もわきます。
「ぬるさ」は、余裕の裏返しでもあります。失敗したら生活が成り立たない状態で起業すると、臆病になり大胆な手段を取れなくなります。試行錯誤ができなくなります。失敗したところで事業をたたまなければなりません。
定年退職後に起業する人は、退職金ももらい、当面の生活資金には困らない状態です。老後の生活が不安になるほどのリスクはとりませんが、多少の投資は可能です。
それが、心の余裕につながります。
スズメが細い電線にとまっていられるのは空を飛べるからです。
地面に置いた幅10cmの板の上を歩くことは難しくありません。しかし、高さ30mのビルの間に渡された板であれば、幅30cmであっても怖くて渡れません。
心の余裕は行動に影響を与えます。
定年退職後に起業する人は、当面の生活費に困らない心の余裕を活かしながら、ぬるい心構えや覚悟の無さを排除しなければなりません。
そのためには、起業のビジョンが情熱を持って目指せることであり、好きなことで起業することが大切なことです。