中小企業白書のこのグラフを見てください。
出典:起業希望者及び起業家の年齢別構成の推移:中小企業白書2014
60歳以上の起業家は、1979年は6.6%でしたが、2012年は32.4%になっており、この約30年間ほぼ一直線に増加しています。
50歳以上で見ますと、2012年では46.7%とほぼ半分になっています。この間、日本の起業希望者は減少していますが、起業家の数は20万人台でほぼ横ばいです。
シニア起業家増加の理由
シニア起業家が増えている理由は、年金支給開始年齢が遅くなり、支給額が減ってきたため、働かなければならないと考える人が増えたこともあります。
しかし、それだけでは、60歳以上の起業家が1979年から一直線で増えていることは説明できません。
やはり、元気なうちは働きたい、そして「雇われない生き方」をしたいと考える人が増えているのだと思います。
起業のネック
企業や役所で長年働いてきた人は、皆それなりの経験とスキルを持っています。特にB to Cの業界や顧客と直接触れ合う仕事をしてきた人は、その経験やスキルを起業に活かしやすい面があります。
B to Cの仕事であれば、企業がカバーしきれない少数の顧客に、きめ細かいサービスの需要があり得ます。
営業をやってきた人であれば、そのスキルや人脈をそのまま起業に結びつけられることもあります。
しかし、B to Bの業界で、顧客と直接触れ合わない仕事をしてきた人は、仕事で身につけた経験やスキルを起業に活かすことが難しくなります。企業向け製品の製造スキルなどは、なかなか個人の起業には使えません。
また、管理職として形だけの管理を長年やってきた人も、仕事で培ったスキルでの起業が難しくなります。何ができるかと聞かれ、「部長ができます」としか答えられないと揶揄されるパターンです。
自分の棚卸
起業を考えているが、自分がどのような仕事ができるかわからないという人は、自分の棚卸をすることがおすすめです。
自分の棚卸には、スティーブン・R・コヴィーが『第8の習慣 「効果」から「偉大」へ』で提唱している「ボイス」が参考になります。
「ボイス」とは、才能・情熱・ニーズ・良心の重なるところです。子供の時から考えて、自分が得意だったこと、好きだったこと、人から頼まれたこと、やるべきだと感じたことをそれぞれ100項目ぐらい書きだします。
頭を柔らかくして、既成概念から自由になることで、潜在意識に埋もれていたものが浮かび上がります。夢でも妄想でも、思いついた考えを否定することなく、書きだしてみることです。
書き出しが終わったら、そのリストを眺め、その中から人の役に立つこと、人に喜ばれそうなことはないかと考えてみます。
今の自分にできなくても、少し勉強すればできそうなことでかまいません。
人の役に立つこと、人に喜ばれることが、起業の種になります。
まずやってみる
起業の種が見つかったら、まずやってみることです。うまくいくかどうかは、やってみなければわかりません。
その際に気をつけることは、過剰な投資をしないことです。最初は身の丈に合った事業規模で始めます。
起業の9割は失敗すると言われています。失敗しても原因を分析し、修正してやり直せばいいだけです。失敗するかどうかは確率の問題でもあります。たまたたタイミングが悪かっただけかもしれません。成功の確率が1割でも、繰り返すことにより成功の確率は上がります。
何回でも繰り返すためには、過剰な投資をしないことが必要です。過剰な投資をしてしまっては、何回も繰り返すことができません。
差別化
他社との差別化も必要です。
誰も競合がいない市場など、まずありません。すでに誰かが始めていることがほとんどです。そのときに必要なことは、他社との差別化です。
自分が1番になる分野を見つけることです。条件を複数かけ合わせることにより、ターゲットは小さくなりますが、自分が1番になりやすくなります。
ある分野で1番になれば、それが評判となり、近隣の分野にも進出が容易になります。
おわりに
起業するときは、応援してくれる仲間を持つことです。
FacebookなどのSNSは、多くの人とゆるいつながりを持つために格好のツールです。起業に必要なさまざまな情報を得ることもできます。
ひとりでも多くのシニア世代が起業し、税金を納めれば、若い世代の負担は小さくなります。シニア起業の社会的意義はとても大きなものです。私も生涯現役でいたいと願っています。
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