危機感をあおるだけで終わってしまった『サラリーマン終活「定年後30年時代」の備え方』 | 定年起業のためのウェブコンサルティング

危機感をあおるだけで終わってしまった『サラリーマン終活「定年後30年時代」の備え方』

定年

日経ビジネス2016年9月19日号で『サラリーマン終活「定年後30年時代」の備え方』という特集をやっています。

サラリーマン終活「定年後30年時代」の備え方:日経ビジネスDigital

簡単に紹介します。

定年ホームレス

定年ホームレスというショッキングな言葉を使っていますが、ホームレスになった人の例が掲載されているわけではありません。

定年退職を迎えた人には、金銭面で3つの落とし穴が待ち受けているとしています。

  1. 子供の教育資金
  2. 住宅ローン
  3. 親の介護

ありあまる時間

金銭面での不安がなくても、ありあまる時間があります。

家にいると夫源病や妻源病の危険が高まります。どちらも、配偶者の言動や過度の依存、干渉に対する不平・不満がストレスとなって起きる、めまいや動悸、頭痛、不眠などの症状です。

そのため、定年退職後の居場所は、図書館と裁判所と公園が聖地と言われているそうです。

地域のコミュニティに参加する人もいますが、溶け込めるまでには5~10年の期間が必要です。

起業

そこで目指すのが起業です。

しかし、この記事ではそれを「自覚なきナルシストたち」と切って捨てています。掲載されている具体例を見てみましょう。

パソコン教室運営

大手広告代理店を退職した人がパソコン教室の運営を始めましたが、生徒募集チラシの完成度にこだわったため、広告宣伝費が膨れ上がったそうです。

あるかもしれないと感じさせる失敗です。

事業の規模やターゲットのニーズの違いを見失っています。

大学生向け勉強会

大手企業の社長を務めた後、大学生向けの勉強会を始めた人の話です。

講師を自分の人脈を使って集めていましたが、講師の幅を広げるのが難しくなったそうです。生徒も集まりにくくなった面もあります。

詳しいことは書かれていませんが、講師を広げる努力が不足していたのかもしれません。生徒が集まりにくくなった原因は就職時期の後ろ倒しと書かれていていますが、むしろ生徒がなぜ集まっていたかの分析が必要です。

理由がなければ、大学生が集まってくるはずがありません。

成功例?

この特集ではPART2で成功例を紹介しています。

野球のコーチ

大学の職員になり野球部のコーチをやっている人です。自身も大学生時代に野球の選手だったそうです。

前職時代の知り合いから大学の室長の職を得ましたが、室長ではなく野球部のコーチにしてもらったそうです。

NPOの立ち上げ

マラリア撲滅のため複数企業から3400万円の支援金を集め、NPOを立ち上げた人です。

支援金を集めるために行った活動については書かれていません。

セミナー講師

コンサルティング会社に誘われ、TOC(制約理論)の講師をしている人です。

ワイナリー運営

米国の大学の通信講義でワイナリーの運営について学び、山形に土地を取得し、ワイナリーを運営しようとしている人です。東京と山形を往復しながら、長期計画でワイナリーを作っています。

介護施設

介護のデイサービスは、収入源が保険の点数になるため売上高に上限があります。定員は食堂と機能訓練室の面積によって決まるため、その他のスペースを削ることになります。

それにも関わらず、快適な理想の施設を作ったそうです。

キャッシュフローは1年3ヶ月で黒字化予定ですが、建設費を入れれば赤字だそうです。「評判を基盤にして高齢者向けのサービスを事業化する。そうすれば介護保険収入の上限を突破できる」と言っています。どうして上限を突破できるのかわかりません。

感想

この特集は、具体例に肝心なことが書かれていないため、ほとんど役に立ちません。

失敗例には、失敗からのリカバリー方法や失敗を避けるための方法を掲載して欲しいところです。

成功例では、成功した理由をできるだけ詳細に分析してもらいたいものです。大企業の役員が、人の紹介で他の会社に入った話は、多くの人の参考にはなりません。

定年を迎えるまで何も考えていない人の危機感をあおり、おしりに火をつけているだけの特集です。そういう人がまだまだいる現状では仕方がないのかもしれません。

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