2016年3月5日の日本経済新聞にショッキングなコラムがありました。
『(女・男 ギャップを斬る)退職後の「夫不要論」 日本社会の問題うつす 詩人・社会学者 水無田気流 :日本経済新聞』
「あそこの旦那さん、定年退職直後に亡くなったんですって!」と1人が言い、他の女性たちが「んまあー!」と声を上げるので、次に「お気の毒に!」が来るものと思ったら、異口同音に「うらやましい!」「理想的!」と来て、驚愕したのである。これは特殊事例なのか、それともこの国の女性たちにある程度共通する気分なのか、検証する必要を感じた。
出典:日本経済新聞
この例は、それほど特殊ではないような気がします。
定年退職直後に亡くなる方は、多いように感じます。私の知っている人でも何人かいます。
原因は推測するしかありませんが、定年退職となり生きる気力をなくす人もいるかもしれません。思うようにならない人生に絶望し、酒におぼれ、身体を壊すのかもしれません。
それに対する妻の反応が上記のようなものであれば、こんな寂しいことはありません。
近年、シニア世代で起業する人が増加しています。
出典:中小企業白書 2014
起業家の割合で60歳以上に着目すると、1979年の6.6%から2012年には32.4%にほぼ一直線に増加しています。
最近、私もシニア起業家に会う機会が増えています。
シニア起業家はレンタルオフィスを借りる人が多いようです。中には、仕事の内容もはっきり決まらないうちに、レンタルオフィスを借り、株式会社を設立し、代表取締役となる人がいます。
なぜ、レンタルオフィスを借りるのか聞くと、家にいると妻に嫌がられると答える人が少なからずいます。
住宅事情の悪さが理由とも考えられますが、家に自分の居場所がない人もいるように感じます。
私が勤めていた会社でも、家に帰っても居場所がないと言って、残業したり、飲みに行ったりする人がいました。
金さえ運んでくれれば、夫はいないほうがいいと本気で考える妻はいるようです。その場合、夫は家に帰りたくなくなります。
単身赴任や長期出張、休日出勤、長時間残業などで、長い間夫がいないことに慣れていると、定年後に夫が毎日家にいることがわずらわしくなることは想像できます。
しかし、それだけではなく、夫が近くにいることに耐えられなくなっていても、夫が家にいないため婚姻関係を続けている人がいるということです。
定年退職後、夫が死亡しないときは、離婚するのかもしれません。結婚後に増えた財産は二人のものになるはずです。
被雇用者の場合、会社の仕事を優先して、家族との関係を犠牲にすることほどバカバカしいことはありません。
自分の健康と家族との関係は、仕事よりも優先して守るべきものです。