会社や組織に勤めている人と自分で事業をしている人では、お金に関する考え方が根本的に違います。
この考え方の違いは、会社勤めをしていた人が起業を考えた時に、大きなハードルとなります。
勤め人の考え方
会社や組織に属して働いていると、お金は労働の対価としてもらうものだと考えてしまいます。
残業をすれば残業代が出ます。休日出勤すれば割増の残業代になります。
会社や組織で昇格すると、給料が増えます。会社の業績が上がれば、ボーナスが増えます。
こういうことを繰り返していると、仕事とは指示されたことを実行することであり、その対価としてお金をもらうものだと思うようになります。
会社や組織の中での地位が上がっていくと、事業目標を達成することが仕事だと思うようになるかもしれません。その事業目標は上から示達されたものです。
実現困難に思える事業目標でもなんとか達成すると、達成感を得られるとともに、ボーナスも増えます。
しかし、上から指示されたことを実行し、その対価としてお金をもらうことには変わりません。
事業主の考え方
自分で仕事をやる事業主は、自分の商品やサービスが売れなければお金になりません。
お客様が自分の商品やサービスを買ってくれるのは、それに価値を見出してくれるからです。商品やサービスがお客様の役に立ったり、お客様に快楽をもたらしたりするから買ってくれるのです。
どんなに長時間働いても、商品やサービスにお客様が価値を認めなければ買ってくれることはありません。
お金は労働の対価としてもらうものではありません。
自分で仕事をする人にとっては、お金とはお客様に価値を提供して稼ぐものです。
まとめ
会社や組織で長い間働いた人が、乗り越えなければならない壁がここにあります。
お金を労働の対価としてもらうものだと思っている人は、お客様のことを考えられません。お客様に価値を提供しようと考えません。その結果、お金を稼ぐことができません。
自分が苦労して開発した商品だから、売れないはずがないと思い込んでしまいます。
逆に、会社や組織で働いたことのない人は、他の人の欲求に敏感になります。他の人が欲しているものを自分が提供できるならば、商売になると考えます。これがマーケット感覚です。
なお、ひとつの会社の下請けだけの仕事やフランチャイズは、独立して仕事をしている状態ではありません。元請会社や親企業の指示に従って働かざるを得ません。そのため、勤め人と同じ発想で仕事を続けることになります。
しかし、労働時間に応じた賃金が支払われることはありません。下請けでは元請会社との契約に基づいた金額が払われるだけです。フランチャイズでは売上の一部が手に入るだけで、売上が上がらない時のリスクを負うことになります。
下請けやフランチャイズは、労働法で守られることなく他人の下で働くという、最も不利な条件の働き方と言えます。