『Webデザイン・コミュニケーションの教科書』は、Webデザイナーを対象とした本です。Webデザイナーの仕事への興味から読んでみました。Webデザイナーの仕事にコミュニケーションの面から切り込んでいます。そこで、私の印象に残った3つのコミュニケーションについて紹介します。
発注者とのコミュニケーション
まず、発注者とWebデザイナーとのコミュニケーションがあります。発注者はWebに詳しい人とは限りません。デザインにも疎いかもしれません。そんな発注者から「デザインをリニューアルしてくれ」程度のあいまいな要求が出ることもあるようです。
すると外観のリニューアルから考えてしまうデザイナーが多いそうです。発注者がお金をかけてリニューアルしたい理由を把握しなければなりません。発注者がお金をかけてリニューアルしたいのは、何かの問題を解決したいからです。
中には予算を消化し、仕事をしていることをアピールするために、Webサイトのリニューアルをする発注者もいるかもしれません。その場合でも、予算の消化と仕事のアピールが、発注者の課題です。
「デザイナーは言われたものだけを作ればよい」と考えていると、発注者に振り回されることになり、根拠のない変更や修正を何回も繰り返すことになりかねません。
発注者の解決したい問題は何なのかを常に考えることが、Webデザイナーにも必要なことです。そして、できるだけWebデザイナーも問題解決に参加することです。そのとき、発注者にも、Webサイトを利用するユーザーのことを理解してもらうことが大切です。
ユーザーとのコミュニケーション
次は、Webサイトを利用するユーザーとのコミュニケーションです。Webサイトは、紙媒体とは違って双方向のメディアです。最近はWebブラウザからユーザーの情報をかなりとれます。また、操作の流れも対話形式になります。
ユーザーはスマホから見ているのか、パソコンから見ているのか、状況に応じたコミュニケーションが必要です。ユーザーはこのサイトで何を知りたいのか、何をしたいのかを考えてデザインしなければなりません。ユーザーの立場で考えることが大切です。
チーム内のコミュニケーション
最後はチーム内のコミュニケーションです。Webデザイナーだけでなく、エンジニアの力を必要とするWebサイトもあります。
デザイナーは外観優先でデザインを考えがちですが、機能優先で考えなければなりません。機能を実現するために複雑なフローが必要な場合は、フローに矛盾がないこと、エラーの対応がきちんとできることが必須です。
必要とされる機能をエンジニアとデザイナーが、一緒に協力して作り上げることになります。
おわりに
デザインは人とのコミュニケーションです。パソコンに向かっていると、パソコンの中で解決しようと考えがちですが、本書では、人が相手であることを強調しています。
コミュニケーション以外にも、ボタン・フォント・アイコン・フォームなどのデザインで考慮すべき点、最近の技術への向き合い方などにも触れています。非常に分かりやすいWebデザインの本です。