元Googleのエンジニアらが、AndroidベースのOSを搭載したパソコンを発表しました。
形はMicrosoftのSurfaceに似ています。
パソコンとタブレット
ここでは、キーボードが付属したものをパソコン、キーボードが別のものをタブレットと呼ぶことにします。
大量の文字入力に最も便利なものがキーボードです。慣れれば1秒間に数文字以上入力できるようになり、音声入力よりも早くなります。
そのため、ウェブサイトを見たり、電子書籍を読んだりするときは、タブレットでもいいですが、大量の文字入力をするときはパソコンを使います。
タブレットとキーボードを別々に持ち歩くよりも、軽いパソコンを選べば、パソコンの方がかさばらず軽くなります。
Microsoftの戦略
Microsoftはタブレットとパソコンで同じOSを使う戦略をとっています。
しかし、MicrosoftはWindows 8の開発方針を間違えました。これまでのユーザーインターフェースよりもタブレット向けのインターフェースを優先してしまいました。市場からのクレームを受けて、次のWindows 10ではパソコンのユーザーインターフェースを重視するはずです。
タブレットとパソコンで同じOSを使うメリットは、パソコン用の豊富なアプリケーションプログラムをタブレットでも動かせることです。しかし、タブレットは主に見るだけですから、あまり大きなメリットではありません。
Appleの戦略
Appleはタブレットとパソコンで別のOSを使っています。ただし、アカウントやデータの連携はクラウド経由で簡単にできます。
iOSを搭載したパソコンの話がでることがありますが、ありえないと思います。動作は軽くなりますが、OS Xの豊富なアプリケーションプログラムが動かなくなります。
OS Xをそのままタブレットに載せることもありえません。iOSを強化すればいいだけの話です。
Googleの戦略
Googleは、Chrome OSをリリースしています。ChromebookというWebブラウザーだけが動くパソコンで動かせます。Webブラウザーだけが動けばいいので、軽く安く速いパソコンが作れます。
データを保存しないので、盗まれたり、無くしたりしても、セキュリティ面で安心です。
ほとんどのことは、Webブラウザででき、電波が届かずインターネットに接続できなくても、最低限のオフライン作業ができるようになっています。
パソコン用OSを持っていなかったGoogleらしい製品ですが、MicrosoftやAppleと比較すると、これまでのアプリケーションプログラムの蓄積がないところが弱みです。
Chrome OS用のオフラインだけで動くプログラムが考えられません。そのため、Chromebookの用途は限られます。
ここに、3人の元Googleのエンジニアらが、AndroidベースのOSを搭載したパソコンを発表しました。おそらくAndroidで動くプログラムは動き、いくつかの新しいプログラムも付属しているとは思います。
しかし、それだけです。パソコン用の豊富なアプリケーションプログラムがあるわけではありません。Androidタブレットと外付けキーボードを持ち歩くよりは、かさばらず、軽くなるかもしれません。でも、それだけです。それほど需要があるとは思えません。
おわりに
初期のコンピュータでは、回線速度も遅く、端末は文字を入力し表示するだけでした。パソコンが高性能になり、クライアントサーバーシステムとして、パソコン側での処理も行われるようになりました。
回線が高速になると、シンクライアントやChromebookのように、端末側では処理をせず、サーバーやクラウド側で処理をするシステムが再び現れました。
技術が進歩すると技術の潮流も変わります。
しかし、インターネットが使えない場所でオフラインで使うことを考えると、シンクライアントやChromebookは限られた用途で使われるだけになります。
情報発信する人が使う機器は、パソコンが主流であることは変わりません。