あなたのプロジェクトはうまくいっていますか?
『10 Signs When Projects Are Doomed to Failure 』には、プロジェクト失敗を示す10個のサインが書かれています。
10個のサインを意訳すると次のようになります。
- プロジェクトメンバーが、仕事するよりも、プロジェクトの悪い状態についてばかり話している
- プロジェクトの進捗が大幅に遅れている
- 顧客の要求を満たしていてはプロジェクトが終わらない気がする
- 政治的要求が多すぎる
- 中心的外部コンサルタントが顧客のためではなく自社の興味で仕事をしている
- 中心的外部コンサルタントがかき回す
- 納期が一度ならず延期されているにも関わらず、いつになるかわからない
- 汎用的システムであるがカスタマイズや設定が複雑でメンテナンスできない
- 性能が悪い
- 開発プロセスが最初から混沌としている
プロジェクトは、このようなサインが出てから対応していたのでは遅すぎます。サインが出る前に対応しなければなりません。プロジェクトの主な失敗原因とこれらのサインの関係は次のようになります。
1.プロジェクトの目的・条件があいまい
プロジェクトを始めるときには、目的および費用や納期などの制約条件を関係者全員で合意しておかなければなりません。
ここをあいまいにしたままスタートしたプロジェクトは混乱します。
顧客の要求を満たしていては終わらない気がしたり、政治的要求が多すぎると感じたり、外部コンサルタントがかき回したり、開発プロセスが混沌としたりするのは、目的か制約条件についての合意がとれていない場合です。
新国立競技場の建設プロジェクトが典型的な例でした。
2.資源が足りない
プロジェクトが失敗するもう一つの典型的な例は、プロジェクトを完遂するために必要な資源が足りない場合です。
資源とは、ものだけでなく、時間やスキルを持った人なども含まれます。
もともと時間が足りなかったり、必要なスキルを持った人がいなかったりするプロジェクトはうまくいきません。何とかなるだろうと見切り発車しても、どうにもならないときもあります。
「汎用的システムであるがカスタマイズや設定が複雑でメンテナンスできない」のは、汎用的システムを設計するスキルか時間が不足していたためです。
3.見積もりミス
目的と条件を関係者で合意し、必要な資源が用意できれば、きちんとした計画が立てられます。きちんとした計画を立てられれば、プロジェクトは9割方成功します。
それでも失敗する1割の可能性の中には、プロジェクト計画時のミスがあります。
必要な作業を見落としていたり、生産性の見込みを間違えたりすると、進捗に影響を与えます。
朴訥な技術者は、性能面の考慮を忘れます。性能は設計時から考慮しなければなりません。後から改善すると余計な費用と時間がかかります。
4.リスクの発現
めったに起きないリスクが発現することもあります。キーとなるメンバーが事故にあったり、病気になったりすることもあります。地震や火事で作業場所が使えなくなることもあります。
リスクに対しては、発生する確率と発生した場合の損害から、どこまでの対策をとっておくかを決めます。
おわりに
「中心的外部コンサルタントが顧客のためではなく自社の興味で仕事をしている」というのは、よくわからない状況です。文字通りの意味であれば、外部コンサルタントを辞めさせればいい話です。
政治的に辞めさせられないのならば、関係者の間でプロジェクトの目的か条件の合意ができていません。政治的影響力を及ぼす人も関係者です。
「プロジェクトメンバーが仕事するよりも、プロジェクトの悪い状態についてばかり話している」のは、プロジェクトの改善方法について話をしているのだと思います。
なかなか結論が出ないとすれば、目的か条件の合意ができていないか、資源が足りないのです。
いずれにしても、プロジェクト失敗の原因を知り、失敗のサインを見る前に対処したいものです。