日本に生まれてよかった!『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』

 1980年代はじめから、ちきりんさんは、海外を旅して回りました。観光客のよく行く米国やヨーロッパだけではなく、ビルマ、中国、南米、インド、キューバ、アフリカ、イースター島などにも行っています。

 本書は、そんなちきりんさんの旅行記です。1980年代のビルマでは、「一定の米ドル相当額を、ビルマ通貨に両替するよう」求められ、「両替したビルマ通貨は外貨に再両替できない」ということを経験しました。ビルマには買うべきものがありませんでした。ちきりんさんは、この両替制度を「一種の寄付、もしくは税金」と表現しています。

 ちきりんさんは、どこの国でも自分の目で見て、自分の頭で考えています。本書は、そんなちきりんさんの独自のものの見方と知的刺激であふれています。日本にいては、なかなか想像もできないことを経験できることが海外旅行の醍醐味です。海外旅行への憧憬がむくむくとわきあがってきます。

 海外に行くと日本のことがよくわかるようになるといいます。ちきりんさんも、ビルマでお金も家も車も持っている男性と話をして、将来への希望を持て、自由に海外に出られ、選択の可能な日本社会にいる自分のほうが、はるかに豊かな人生を送っていることを実感しています。

 1980年代の中国には、二種類の紙幣があったことをちきりんさんは書いています。「人民元」と「外貨兌換券」です。ちきりんさんが行ったときには「外貨兌換券」でしか買えないものがあったそうです。

 私も1986年に中国へ行った際に、「人民元」と「外貨兌換券」を見ました。持っていったドルを北京空港の銀行で両替したときに手にしたのは、「外貨兌換券」です。何かを買って、もらったおつりは「人民元」でした。「外貨兌換券」は普通のお札でしたが、「人民元」は、紙質も悪く、しわくちゃでぼろぼろのお札でした。中国の人から「人民元」は、円に交換できないと聞き、次の買い物では「人民元」から使うようにしました。私が買い物をした場所では、「人民元」が使えない場所はなかったので、「人民元」は、コインみたいなものだという印象でした。

 次に中国に行ったのは1999年でした。兌換券制度は廃止されていましたが、元を無条件に円に交換することはできませんでした。円から元に交換した証明書がないと、元から円に戻すことができませんでした。しかも、証明書は要求しないともらえませんでした。私の同行者は証明書をもらい忘れたため、元を円に交換できず、空港でたくさんの不要なお土産を買うはめになりました。

 一切、外貨に再両替できない1980年代のビルマほどではないですが、1999年の中国も外貨への両替は自由にはできなかったということです。

 最後にちきりんさんは、「この本を手にとり、ここまで読んで下さった皆様は、海外旅行が好きか、憧れている方だと思います。」と書いていますが、本書は海外旅行に興味がなくても、知的刺激に敏感な人であれば十分に楽しめる一冊です。

 この記事は、『世界を歩いて考えよう!』の書評コンテストに応募しています。

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