「ネットがつまらなくなった」という人をときどき見かけます。その理由はいくつかあります。
好きなことを書けなくなった
「好きなことを書けなくなった」という理由が一番多いと思います。
昔は人の悪口でも、会社の悪口でも、仕事の愚痴でも、何でも書けたけれども、今、そんなことを書いたら炎上してしまうと考えている人です。
ネットの利用者が少なかったころは、何を書いても見る人が少なく、発言が拡散していくこともありませんでした。
それがネットは何を書いても許されるという誤解を生みました。
ネットの利用者が増えるに従い、問題のある発言は論議を呼ぶようになりました。祭りと言われる状態になることも増えました。
大きく変わったのは、Twitterが出てきてからです。Twitterは急激な拡散を生みます。リツイートがリツイートを生み、信じられない数の人に読まれる場合があります。
また、Twitterは仲間内だけで使っていると、限られた人しか見られないという誤解をしがちです。
Twitterの拡散力と仲間だけが見られるという誤解が、昨年のバカッター騒ぎという悲劇を生みました。
もともとネットは不特定多数の人が見られるものです。自分しか読まない日記とは違います。
脅迫や名誉棄損に当たることを書くことは許されません。これは昔から変わっていません。
昔は他人の目に触れることが少なかっただけです。
それが、拡散されるようになったため、相手の目にも触れ、損害賠償請求を受けたり、逮捕されたりするようになりました。
埋もれる
ネットのコンテンツが少なかった時、小さなブログや掲示板にも割とコメントが付きました。コンテンツが少ない分、少ないサイトに人が集まるという面がありました。
今はコンテンツがあふれています。お金儲けのためにコンテンツを乱造している人が増えました。中には人の作ったコンテンツをまとめてコピーしているサイトもあります。
有名人がネットに進出し、注目を集めてしまうこともあります。芸能人ブログが乱立し、ふつうの人のブログは埋もれてしまいました。
そんな中では、ふつうの人の書いたエントリはなかなか読まれません。反応も得られません。
これが、ネットがつまらなくなった2番目の理由です。
あふれるお役立ち記事
普通の人がネットで注目を集めるためには、多くの人が欲しがるコンテンツを提供するしかなくなりました。
多くの人が欲しがるコンテンツを提供し、検索で見つけてもらうのです。そして拡散をねらいます。
自分の書きたいことを書いたブログなど誰も読んでくれません。
こうしてネットはお役立ち記事であふれてきました。ネットは実用書や自己啓発書のコピーのようになりました。
誰も検索して探そうとしない味のある文章は、ネットの片隅に埋もれたままになります。
検索して見つかるエントリは、役には立ってもどれも同じような内容です。
これが、ネットがつまらなくなった3番目の理由です。
ネットを面白くするには
ネットは、顔は見えなくても本音の話ができる場所と考えられた時代がありました。ネットの住人が少ない間は、リアルの世界では許されない発言も見過ごされてきました。
ネット人口が増えるに従い、ネットの世界は限りなくリアルの世界に近づきました。リアルの世界で許されないことは、ネットの世界でも許されません。現在では、ネットとリアルが融合しています。
そんななかでネットを面白くする方法は、リアルの世界を楽しむ方法と同じです。
大衆に迎合するのではなく、自分のこだわりのコンテンツを検索し、発信することです。テレビのように大衆受けするコンテンツだけを追っていたら、つまらなくなって当然です。
距離と時間を超越し、混沌の中からも検索により情報を引き出せるというネットの特性を十分理解・活用し、現実社会を楽しむこと、それがネットを楽しみ、ネットが面白くなる秘訣です。