役職定年制は1990年代に大手企業を中心に広がりましたが、その評価は定まったと言えるのではないでしょうか?
役職定年制とは
役職定年制とは、企業で管理職ポストにある社員を一定年齢でポストを外し、給与を下げ、専門職に異動する人事制度です。
建前上は、人事の新陳代謝のため、若手を登用しやすくする目的とされています。
しかし、一定年齢に達した時に給与だけを下げ、ポストはそのままという例も散見されるため、人件費を抑制することが本当の目的と考えられます。
役職定年制については、大きく分けて2つの意見があります。
役職定年を40代に設定
ひとつは、企業で経営を担えるかどうかは40代で決まるため、それ以外の人たちに次の人生プランを考えさせるよう、役職定年は40代に設定すべきという意見です。
多くの企業が役職定年として定めている55歳前後では遅すぎるとしています。
この意見の持ち主は、たいていの仕事は30代、40代の社員で遂行できるため、50代の社員は邪魔にしかならないと考えています。
モチベーション低下
もうひとつの意見は、役職定年はモチベーション低下にしかならないという意見です。
特に、ポストも仕事も変わらないのに、給与だけが一定年齢に達したからという理由で下がるときには顕著です。
それは、若手社員も見ています。自分も一定年齢になったら、給与だけは無条件に下げられると知れば、一定年齢に達する前からモチベーションが下がります。
企業による違い
実際には、仕事の内容や制度の詳細が企業ごとに大きく異なります。
一般論として言えることは次のとおりです。
- 若手の登用に役立つ
- 人件費を抑制できる
- 社員のモチベーションを下げる
50代の社員がいなくなれば、若手の登用が進むことは間違いありません。しかし、そのためにスキル不足になっては本末転倒です。
40代よりも50代が能力的に劣る仕事は、肉体労働ぐらいではないでしょうか?
一般的に頭脳労働であれば、経験がものを言います。50代のほうが良い仕事ができます。もちろん個人差がありますが、50代の社員は邪魔にしかならないという職場は限られるはずです。
高いスキルを持った社員が役職定年でどんどんポストを外れていくため、人材不足で悩んでいるという企業もありそうです。
一方、「40歳定年幸せ」説もあります。20代で身につけたスキルが40歳以降も通用することはほとんどありません。40歳前後で自身の仕事を見直した方が幸せだという説です。
しかし、日本には雇用の流動性が低いという問題があります。米国であれば、転職市場が成熟し、受け皿があります。
雇用の流動性を高めずに、社員の退職を促す制度を導入しても、リストラ策として使われ、人材使い捨てを助長するだけです。
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