あなたが小さな会社の経理部長とだったとします。社長から訴訟相手の和解金の支払いを指示する緊急のメールが届いたら、振り込んでしまうのではないでしょうか?
そんな詐欺が増えているそうです。
「社長」かたる詐欺メール 国内218社受け取り 1~6月、トレンドマイクロ調べ :日本経済新聞
経理部長は急いで送金を済ませた後に社長に報告します。すると「そんな指示を出した覚えはない」と言われて詐欺に気づきます。
おそらく、社長からのメールは普段やりとりしているメールと変わらないものです。メールアドレスは偽装し、冒頭の書き方や署名もいつもと同じです。
その会社をねらい撃ちにして、その会社のメールを盗み読みしていれば可能なことです。その会社の幹部しか知らない情報も手に入ります。
そのような情報を利用して、社長に偽装したメールを経理部長に送ったら、社長の指示に従ってしまう可能性は高まります。
さらに、社長が海外出張などで連絡を取りにくい時期や、心理的に連絡をとることをためらわせる深夜などの時間帯をねらうことも考えられます。
社長が米国に出張中で、米国の深夜の時間帯に経理部長がメールに気づくタイミングなどがねらわれそうです。
この詐欺を防ぐことは容易ではありません。
一番の方法は、このような詐欺があることを社内に周知して、通常の手続きを踏まない対応については、必ず確認することを徹底することです。
社長は、スマホや携帯電話を枕元に置いて、深夜でも電話に出られるようにしておかなければなりません。
間違い電話で起こされることがあっても、やめてはいけません。
また、社員からの電話で起こされて不機嫌になってはいけません。不機嫌になると社員は電話をすることをためらうようになります。それこそ詐欺師の思う壺です。
成りすましメールを使って、ウィルス感染させる添付ファイルを開かせる手口は知られるようになってきました。
今後は、この詐欺メールの亜種が増えることが予想されます。
成りすましを防げないことは、電子メールの重大な欠点です。
LINEやFacebook Messengerなどのメッセンジャーアプリの方が、成りすましは困難です。2段階認証をしていれば、簡単には乗っ取れません。
この詐欺は、メッセンジャーアプリがビジネスで本格的に使われるきっかけになるかもしれません。