ソフトバンクが「つながりやすさNo.1へ」と、接続率No.1はソフトバンクだったとプロモーションを行っています。
つながりやすさ No.1へ:プラチナバンド 特設サイト | ソフトバンクモバイル
ところが、その調査方法を確認したところ疑問がわきました。ソフトバンクによると、調査は、「通話接続率」が世界第2位の調査会社Ipsos日本法人によるものであり、「データ接続率」は、ヤフー(株)のデータを(株)Agoopが統計分析処理したものです。
通話接続率調査結果を発表 | IPSOS IN JAPAN
株式会社Agoop – エリア解析サービス:ビッグデータ,流動人口データ,商圏,GIS,分析
まず、Ipsos日本法人による「通話接続率」の定義は、次のようなものです。
(通話接続率)=(音声通話が成功した回数)/(音声通話をかけた総回数)
携帯電話に対して固定電話回線から、7時-23時までの時間帯でランダムにかけて通じた割合です。
ここで忘れてならないことは、普段ある会社の電波が届きにくい所にいる人は、その会社の携帯電話は使わないということです。
この調査で、音声通話が失敗するのは、たまたま携帯電話の電源を切っていたか、たまたま電波の届かない所にいたときです。すなわち、携帯電話の利用者が、電源を入れて電波の届く所にいた割合を調べているだけです。
普通つながりやすさという言葉でイメージするのは、一般的に電波のつながりにくい僻地や地下、また輻輳が起きやすい人が大勢集まった場所などでどれだけつながるかです。この調査で調べた「通話接続率」は、そのようなところでのつながりやすさとは、まったく無関係の数字になっています。
次に、(株)Agoopによる「データ接続率」は、次のような定義です。
(データ接続率)=(パケット通信が成功した回数)/(パケット通信試験を行った総回数)
スマートフォンアプリ「防災速報」の通信ログデータを抽出して調べたそうです。「防災速報」の利用者がアプリを立ち上げて使ったときに、どれだけの割合でパケット通信が成功しているかの割合を調べています。
普段ある会社の電波が届きにくい所にいる人は、その会社の電波を利用してスマートフォンは使わないということが、同様に言えます。
「防災速報」のアプリを立ち上げて使用したときのログデータが元になっていますから、「データ接続率」は利用者が「防災速報」のアプリを使う場所での電波の安定度を表していると言えます。利用者が「防災速報」のアプリを使うのは、その人の生活圏だろうと予想はできますが、それ以上のことは言えません。
「データ接続率」もやはり、一般的に電波のつながりにくい僻地や地下、また輻輳が起きやすい人が大勢集まった場所などでのつながりやすさとは別ものです。
つながりやすさのテストを行うならば、3社のスマートフォンを持って、電波のつながりにくそうな多数の場所で比較すべきです。Ipsos日本法人による「通話接続率」も(株)Agoopによる「データ接続率」もつながりやすさとは、無縁の数字となっています。