人工知能は1997年にチェスの世界チャンピオンに勝ちました。2011年にはクイズ番組Jeopardy!でも歴代2人のチャンピオンに勝ちました。将棋でもプロ棋士に勝ち越しています。
これからどこまで進歩するかを考えてみました。
意識を持つ人工知能
人工知能の進化を考えるときに意識を持つ人工知能という考えがあります。
チューリング・テストをパスした人工知能を意識を持ったと考える人がいるようですが、これは違うと思います。
チューリング・テストとは、アラン・チューリングという数学者が考案したもので、次のようなテストです。
コンピュータと人間がお互いに見えないようにして対話をします。対話はキーボードとディスプレイで行います。
これはチューリングの時代にはコンピュータとキーボード以外の手段がなかったためです。現在であれば音声でもいいと思います。音声認識と音声合成の技術も必要になり、より難しくなります。
この対話で人間は相手がコンピュータか人間かを判断して、30%以上の判定者が判別できなければ、チューリング・テストに合格したことになります。
最近、チューリング・テストに合格したコンピュータができたと話題になりました。
史上初のチューリングテスト合格スパコンが登場、コンピュータの「知性」を認定 – GIGAZINE
すぐに反論も現れました。
史上初のチューリングテスト合格者「Eugene」はテストに合格していないと著名な専門家たちが指摘 – GIGAZINE
これは、反論の方が妥当です。13歳で英語を母国語としていないという前提で、英語によるテストをしています。試験時間が5分というのも短すぎます。
これをチューリング・テスト合格というならば、3歳という前提でテストをすれば、かなりしょぼいプログラムでも合格するのではないでしょうか。
チューリング・テストには「中国語の部屋」という有名な反論があります。
英語しかわからない人が部屋にいます。その部屋には、中国語の文字を書いてある通りに置き換えると中国語の受け答えができる完璧な説明書があります。
英語しかわからない人が、中国語の質問に対し説明書に従って中国語で答えることできます。
これを知性と呼べるかということです。
簡単に説明すると、「ある文字列に対し、こう返す」という網羅的なアルゴリズムは人工知能と言えるのかということです。
この議論に決着はついていませんが、私はチューリング・テストに合格するぐらいでは、意識を持つとは言えないと思います。
どのようにすれば、意識を持っているかどうかを判定できるかは分かりません。そもそも人間の意識がなぜ存在するかも分かっていません。
人間の意識は錯覚にすぎず、すべては脳内で発生する物理反応だという心理学者もいます。
人工知能は人類を滅ぼすか?
チェッカーでは、人間がかなわないプログラムあります。そうなると、プログラムがどのような目的でその手をさすのか理解できない手をさすことがあります。
すなわち、人間の理解を超えた動きをするプログラムは既に存在します。
近年、ロボット技術は急速に進歩しており、近い将来、自らの判断で戦う軍事用ロボットが作られようとしています。
自らの判断で戦う軍事用ロボットの行動を人間が理解できず、コントロールすることもできなくなる可能性があります。
そうすると軍事用ロボットが人間を襲わないとは誰にも言えません。軍事用ロボットは核兵器以上に危険な武器となります。
軍事用ロボットは人類を滅ぼす危険性があります。
自分の意識をコンピュータにアップロードすることは可能か
人の脳の情報すべてをコンピュータに入力し、コンピュータの中で永遠に生き続けるという発想は昔からあります。
私は、これは不可能だと思います。
なぜなら、コンピュータの仕組みと人間の脳の仕組みがまったく異なるからです。
人間は飛行機を使い、どの鳥よりも早く飛ぶことができますが、鳥が空を飛ぶ仕組みと飛行機が飛ぶ仕組みはまったく違います。
コンピュータがどれだけ高速に大量に情報の処理ができたとしても、人間が情報を処理する仕組みとは違います。
仕組みが違うため、人間の脳の情報すべてをコンピュータに入れることは不可能だと考えます。
人間の脳の仕組みが完全に解明され、同じものを人工的に作れるようになって初めて可能になることです。
さらに、人間の意識がなぜ存在しているかも解明され、人工的に意識を作りだす技術も可能になっていなければなりません。
それは不可能なことのように感じます。
まとめ
コンピュータがより高速、大容量になり、人工知能が発達することは間違いありません。
人類は人工知能の動きを理解できなくなり、コントロールできなくなる可能性もあります。そのため、人工知能を搭載した軍事用ロボットは人類を滅ぼす危険性があります。
それでも、人間の意識がなぜ存在するかの解明は難しいと思います。