少し前の記事ですが、コンピュータと会話していた人たちが、相手がコンピュータだとは気づかなかった事件が報道されています。
瀧口範子のシリコンバレー通信 – 男性の相手は「会話ロボット」、不倫サイトが見せた技術力:ITpro
不倫サイトから大量のユーザー情報が漏えいした事件です。情報漏えいで自殺者も出たと報道され、大きな関心を呼びました。
しかし、私が興味を持ったのは、女性ユーザーの代わりに会話プログラムが使われ、それに気づいた人がいなかったらしいことです。
チューリング・テスト
コンピュータの歴史にチューリング・テストという有名なテストがあります。
チューリング・テストとは、コンピュータが知的かどうかを判断するためのテストで、1950年にアラン・チューリングによって提唱されています。
人間の判定者が、一人の(別の)人間と一機の機械に対して通常の言語での会話を行う。このとき人間も機械も人間らしく見えるように対応するのである。これらの参加者はそれぞれ隔離されている。判定者は、機械の言葉を音声に変換する能力に左右されることなく、その知性を判定するために、会話はたとえばキーボードとディスプレイのみといった、文字のみでの交信に制限しておく[1]。判定者が、機械と人間との確実な区別ができなかった場合、この機械はテストに合格したことになる。
出典:Wikipedia
2014年にチューリング・テストに合格したプログラムが登場しました。
チューリングテストに「13歳」の人工知能が合格 ≪ WIRED.jp
しかし、このときは、英語が第2言語である13歳の少年という前提で、英語によるテストを行っているため議論を呼びました。
つまり、トンチンカンなことを言っても不思議ではない前提で、チューリング・テストをパスしています。
コンピュータの専門家や俳優や議員が審査を行っていますが、審査員の33%がだまされました。
今回の事件
今回の事件では、お金を払った男性が女性を誘おうとして、会話プログラムと会話しています。いつまでも女性が誘いに応じないため、お金を払い続けた男性ユーザーがたくさんいたようです。
しかし、人間ではないのではと、疑問を持った人はいなかったようです。もしいれば、強いクレームが不倫サイトの管理者にあがったはずですが、そのような報道はありません。
今回の事件では、不倫サイトに登録した多数の男性がだまされました。
これは、不倫サイトの会話プログラムの方が、13歳の人工知能よりも、知的であることを示しているのではないでしょうか。