Facebookは登場以来、機能も少しずつ変わってきていますが、使われ方も変わっています。その遷移をSNSの登場から振り返り、将来を予想してみます。
インターネット以前
インターネットが登場する前は、個人が情報発信する方法は、ほとんどありませんでした。新聞や雑誌の読者欄は、出版社のフィルターが入ります。
街頭で演説するか、ビラを配るしかありません。たまたま近くを通りかかった人が、興味を持ってくれれば、メッセージを伝えることができます。しかし、多くの場合、迷惑がられるだけです。
ブログの登場
1990年代にインターネットが生まれ、ブログが登場しました。
ブログは個人が情報発信できる強力なツールです。文章、画像、音声、動画とあらゆるメディアが使え、世界中に向けて発信できます。
しかし、ブログを読んでもらうには、その存在を何らかの方法で知らせなければなりません。知り合いにURLを教えるか、検索で見つけてもらわなければなりません。
また、長い文章を書くことは、一般の人にはハードルの高いものです。
Twitterの登場
Twitterの140文字までという制限が、かえって気軽に使えるものにしました。
興味深いツイートや面白いツイートをする人をフォローし、継続的に投稿を読む機能があります。ハッシュタグをつけ、特定の話題に関するツイートを見つける機能もあります。
TwitterでブログのURLをハッシュタグとともにコメントをつけて投稿することにより、知らない人にもブログを読んでもらえる機会が増えました。
Facebookの登場
そこにFacebookが現れました。Facebookはブログと違い、画像をはじめから扱えました。文字数の制限がゆるく、Twitterよりも長い文章が書けました。
やがてFacebookをブランディングに使う人が現れました。
Facebookでゆるくつながった多くの人に情報発信することにより、自分自身や自分の扱っている商品やサービスを知ってもらえます。
商品やサービスを購入して喜んでいる姿を、お客様自身に投稿していただけることもあります。
Facebookの友達を増やす人々
Facebookは、すべての投稿を表示しているわけではありません。エッジランクという指標により、表示する投稿を選択しています。エッジランクは投稿した人と見る人の親しさが大きく影響します。
Facebookで友達になっていると親しいとみなされます。投稿をシェアしたり、コメントを書いたり、「いいね!」をしたりすると親しいとみなされます。
その結果、Facebookで自分の投稿を見る人を増やすため、友達を増やし、シェアやコメント、「いいね!」をたくさんする人が現れました。
極端な人は、誰彼かまわず友達リクエストを送り、シェアや「いいね!」をしまくるようになります。「おはようございます。今日もよろしくお願いします。」といった門切り方のコメントを投稿内容にかかわらずつけるようになります。
投稿に対する「いいね!」の数がいつも1000を超える人が現れると、「いいね!」を1000個つけてもらうことを目的にする人まで現れました。
「いいね!」の数が自己目的化したわけです。
しかし、「いいね!」の数だけを増やしても何にもなりません。「いいね!」の数を人気の根拠として出版した人もいるようですが、本が売れるはずがありません。
共感を呼ぶ投稿で得られる「いいね!」と投稿も読まずにつけられる「いいね!」では、価値が違います。
それに気づいた人からFacebookに費やす時間を減らしていきました。
LINEの登場
その後、LINEが使われるようになりました。閉じたグループの人たちで、頻繁にメッセージを交換するには便利なツールです。
しかし、LINEには情報を不特定多数の人に拡散する力はありません。LINEは、これまでのSNSとは一線を画すものです。Facebookの代わりに使われるものではありません。
Facebookの将来
Facebookは多くの人とゆるくつながるには良いツールです。情報発信を頻繁にしている人は、1年ぶりであっても、そんなに会っていない感じにはなりません。
Facebookからは、テレビや新聞などのマスメディアからは得られない情報を手にすることもあります。
しかし、Facebookにはむやみに友達になりたがる人がいます。門切り型のコメントや「いいね!」をつけることに多くの時間を費やす人がいます。
Facebookがはじまったころには、情報発信の助けになったかもしれませんが、今では迷惑なスパム扱いです。
そういった人たちが、飽きて続かなくなるか、むなしい行為だったと気づくまでには、もう少しかかります。
Facebookから意味のない投稿やコメントをする人がいなくなってから、Facebookの真価が発揮されます。
ゆるくつながった人たちとの交流と情報交換という、Facebookの最も優れた面を活かした使い方だけが、生き残っていくことになります。