「生産性の概念の欠如」が発生する理由 | 定年起業のためのウェブコンサルティング

「生産性の概念の欠如」が発生する理由

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 製造業において生産性は、品質と並んで最も大切なことのひとつです。同じ時間で、より多くのものが生産できるということは、ひとつあたりの人件費や設備費が安くなり、コスト削減につながります。製造業では、コスト削減に貢献した人は、高く評価されます。

 このあたりまえのことが、ホワイトカラーの仕事では意識されないことがあります。私の専門とするシステム開発においても、製造フェーズでは単位時間あたりのステップ数などが定量的に管理されていますが、営業用プレゼン資料を作成する仕事などでは、定量的な管理はありません。

 1時間ぐらいでできあがっても、もう少し良くしようとして何時間もかける人もいます。他人の意見が入ると収集がつかなくなることもあります。

 自分ひとりで作成している時でも、一晩眠ってから見直した方が良いアイデアが浮かびます。他人の意見を入れるときは、最終意志決定者を含めることが必須です。最終意志決定者を含めて意見を出してもらい、合意にいたってから修正します。

 だらだらと仕事をしてしまう原因は、効率的な仕事の仕方を知らないということもありますが、効率的に仕事を進めようというモチベーションが欠けているためです。そこに、長時間働いた方が評価されるという意識がからみます。

 長時間働いた方が評価される理由は、評価の軸を決めにくいことがあります。さきほど例にあげたシステム開発では、製造フェーズの単位時間あたりのステップ数やステップあたりのバグ数など、定量化が比較的容易です。

 それに対し営業用プレゼン資料では、単位時間あたり何枚の資料を作れるかという定量化はできますが、その品質についての定量化は難しくなります。あえて定量化するならば、何人かの審査員が点数をつけ合計点で決めるといった方法ですが、最終意志決定者の鶴の一声で決まることもあり現実性に欠けます。

 営業職で仮に売上と利益だけで評価が決まるとすれば、だらだらと長時間働く人はいないと思います。売上と利益の予算をいかに達成するかに注力します。ところが、営業用プレゼン資料を作成するという仕事では、評価の軸が決めにくくなります。生産性を上げることが高い評価に結びつきません。

 評価の軸を決めにくい仕事では、長時間頑張ったのだからという理由で評価が高くなりがちです。ホワイトカラーの評価の軸を決めにくい仕事に、いかに定量的な評価を入れていくかが勤務時間削減の鍵となるかもしれません。それは、生産性の向上につながります。

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