ノートパソコンやタブレットを使って、会議や講演中にメモを打ち込む人が珍しくなくなりました。しかし、私は手書きでメモを取ります。その理由を説明します。
記憶も理解も劣る
記憶の定着と内容理解の両面において、ノートパソコンの利用は、手書きに劣ることが実験で示されたという記事がありました。
なぜ、手書きのメモはノートPCに勝るのか | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
この記事によると、記憶の定着の面でも、内容理解の面でも、キーボード入力よりも手書きの方が、優れていることが実証されました。
話を聞きながらメモを取るときは、話に集中して、大事な単語やフレーズだけをメモします。長くてもひとつの文です。それに矢印などの記号や図形を併用します。
それに対し、話を聞きながらキーボード入力をすると、聞いた言葉をそのまま打ち込みがちになります。この実験でもそのことに気づき、逐語的なメモは避けるように指示しても、まったく効果がなかったそうです。
キーボードを使っていると、聞いたことを打ち込むことに意識が取られ、内容理解がおろそかになります。
その結果、記憶の定着の面でも、内容理解の面でも、手書きにかなわないのだと思います。実験結果は、充分に納得のいくものです。
うるさい
キーボードをたたく音は意外と大きく、人によっては非常に気になります。
先日私が参加したCSS Niteの講演会でも、アンケートに「隣の人のキーボードの音がうるさくて集中できなかった」という感想が書かれると言っていました。
内職を疑われる
会議や講演会で、画面を見ながらキーボードをたたいている人は、話を真剣に聞いているか分かりません。パソコンで何か別のことをしているのではないかと疑われます。
少なくとも、顔をあげて、話をしている人を見たいものです。しかし、日本語入力では同音異義語が多いため、画面で変換結果を確認する必要がどうしてもあります。
会議でノートパソコンを使うメリット
会議でノートパソコンを使ってメモを取るメリットは、会議終了後すぐにその場で議事録を配布できることです。
この目的のために、出席者が合意しているならば、ノートパソコンを使うのはアリだと思います。
しかし、このような議事録は、発言の寄せ集めのような内容で、うまくポイントをまとめたものが少ないのが難点です。
タブレットでは?
ハードウェアのキーボードがうるさいなら、タブレットのソフトウェアキーボードではどうでしょうか? ソフトウェアキーボードではタッチタイピングができず、スピードも上がりません。
むしろ、ソフトウェアキーボードよりも手書き入力の方がいいと思います。まだ、紙の方が使い勝手がいいですが、もう少しすれば、かなり便利になります。
まとめ
20年ぐらい前であれば、会議などに筆記用具の代わりにノートパソコンを持ち込む人は、カッコいいと思われたかもしれません。
しかし、記憶の定着と内容理解の両面で、手書きに劣ることが実験で示され、騒音で周りの人に迷惑をかけます。
会議や講演会、セミナーなどで、人の話を聞きながら、キーボードをたたくのはやめた方がいいと思います。
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