日経ビジネス2015年11月9日号で『デジタル音痴社長 会社を滅ぼす』という特集をやっています。
まったくITを知らない「真性音痴」、ベンダーなどの言いなりになる「操り人形」、生兵法で現場を混乱させる「自称IT通」などのタイプが紹介されています。
いずれも、ITに関する知識・理解が不十分な社長が独断でIT施策を進める、あるいはやらないことで、会社を混乱させています。対策としては、トップを代える、CIOを外から招く、電算室を主役にする、海外の人材を活用するといった方法が提案されています。
多くの企業の問題
ITを分からない社長の多くは、ITに関心を示しません。
デジタル音痴にもかかわらず独断でIT施策を進め問題を起こす社長よりも、ITに関心を示さず専門家に任せているつもりになっている社長の方が多いと思います。
さらに、多くの大手ユーザー企業には、ITの専門家であるIT部門に、最新のITに精通した技術者がいなくなっているという現実があります。
基幹系のトラブルが許されないシステムでは、枯れた技術を使います。信頼性の低い最新の技術を使うわけにはいきません。
一部のシステムで最新の技術を使うとしても、ITベンダーに外注して導入します。ユーザー企業の社員が最新技術を研究し、自社に導入するような余裕は残されていません。
IT部門は既存のシステムを保守するだけで、汲々となっています。
その結果、多くの大手ユーザーのIT部門では、最新の技術が分からなくなっています。そして、そのことを社長が認識していないことが問題を大きくしています。
ITの活用は企業の死活問題
世の中では、FinTechやIoTなどITを活用した経営戦略がますます重要になっています。
デジタル音痴社長は、ITのことは専門家に任せていると思い込んでいます。ところが、IT部門には最新技術が分かる専門家がいません。
その結果、その企業には、最新ITの活用に向けた戦略を立案する能力も、実行する能力もなくなっています。
経営者はそのことに早く気づき、IT部門の抜本的改革に乗り出さなければなりません。
デジタル音痴社長では、ITを活用した経営戦略の重要性に自ら気づくことはなく、ITの専門家と思い込んでいるIT部門が実は最新のITが分からなくなっていることにも気づきません。
デジタル音痴社長の真の罪はそこにあります。