『0からのWebディレクション講座:制作編 | 日本ディレクション協会』に参加しました。
Webディレクションの基礎を学べるセミナーということで、Webディレクション業界のようすが分かるのではないかと思い、参加しました。
1時間の講義のあと、1時間半のワーク、その後、ワークの発表と講評という流れでした。
Webディレクターを月200万円の報酬で募集している会社もあるということでした。私が30年以上かかわってきたコンピュータシステムの開発でも、優秀なプロジェクトマネージャーはいつも不足しています。Web業界でも状況は同じようです。
セミナーの内容
ワークの内容は、あるサイトのPCのファーストビュー制作をデザイナーに依頼するというものでした。ワークの3分の2である1時間を過ぎたところで、変更が発生するという事件も盛り込まれていました。
事件の内容はグループごとに違いました。デザイナーが突然仕事ができなくなり、デザイナーを変えざるを得ないというグループもありました。
私もプロジェクトマネージャーをやっていた時に、サブシステムのリーダーが病気になったり、交通事故で入院したりした経験があります。その時のリカバリーを思い出しました。
その他は、お客様からの変更依頼でした。ファーストビューではなく詳細画面を先に見たいという依頼、PCではなくスマホの画面を先に見たいという依頼、ウェブサイトではなくアプリの制作にするという依頼もありました。期間を短縮され、価格も半分にされたグループもありました。
Webディレクション業界では、お客様からの変更依頼を無条件に受け入れることが多いようです。
講師からは、お客様とのネゴシエーションがあってもよかったという発言もありました。しかし、それは難しいと考えているように思えました。
変更が発生するのは、コンピュータシステム開発でも同じです。昔はお客様の変更依頼をそのまま受け入れることが多かったと思います。ハードウェアの利益が大きく、ソフトウェアやサービスはおまけだったころです。
それでも納期に影響するような変更は、お客様との交渉が必須でした。
ハードウェアであまり利益を上げられなくなってくると、ソフトウェアやサービスを無償で提供するわけにはいかなくなりました。
すると、お客様からの変更依頼を黙って受け入れることはなくなりました。
PMBOK
PMBOKガイド(A Guide to the Project Management Body of Knowledge)というプロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法をまとめたものでも、変更が発生した場合には、関係者を集めて協議することになっています。
変更が発生すれば、費用やスケジュールを見直すのは当然です。そこで合意が得られなければ、プロジェクトの中止もあり得ます。プロジェクトが中止された場合の費用負担などは、契約書に書かれた通りです。契約書は、それを踏まえて作らなければなりません。
Webディレクション業界では、そのあたりが甘いのかもしれません。
下請法
また、下請法という法律もあります。
親事業者が下請事業者と取引する場合、「あらかじめ定めた下請代金を減額すること」や「費用を負担せずに注文内容を変更し、又は受領後にやり直しをさせること」などは禁止されています。
下請法の対象になるかどうかは、親事業者と下請事業者の資本金で決まります。
今回のワークにあった変更依頼の中には、取引する会社が下請法の対象であれば、違法行為になるものもあります。
おわりに
Webディレクションでは、お客様からの変更依頼をそのまま受け入れてしまうことが多いように感じました。
Webディレクションでも、PMBOKに基づいて進めようという動きもあるようです。ここは、これから変わっていく部分だと思います。
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