日本に経営者が育たない理由

 農耕社会では集団からはみ出た人間は生きていけませんでした。皆で田植えをし、皆で稲刈りをしなければならず、それに従わない人間が村を追放されると、もはや一人で生きていくことはできませんでした。狩猟社会では、集団で狩りを行うこともありましたが、一人で狩りをして生きていくことも可能でした。

 日本は基本的に農耕社会でした。そのため、所属集団に合わせて生きていくことが習慣となっていきました。この太古の習慣が現代社会でも残り、会社に勤めるとその会社の文化に従って生きていくようになりました。上司の言うことが間違っていると思っても、あえて口にせず、だまって指示命令に従う方が賢明だと考える人が大勢を占めるようになりました。意見する人間は疎まれ、スポイルされました。高度経済成長時代に会社が順調に成長している間は、これでも大きな問題はありませんでした。

 バブル経済がはじけ、20年間のデフレが続くと、オリンパスのように内部の膿が顕在化する企業がでてきました。会社の伝統に従って働いてきたため、会社の上層部にはイエスマンしか残っていません。もの申す人たちは、それまでに駆逐されています。そのため、自力で会社を変えることは不可能な状態となっています。

 腐った組織を立て直すためには、外部から大なたを振るうしかありません。日産はゴーンが来て立て直しました。JALは一度倒産した結果、昨期は史上最高益となりました。日産もJALも内部の人たちには、何が悪いのかわかっていたといいます。しかし、内部の人間ではそれを改善することはできませんでした。

 ひるがえって、電機産業では改善の方向が見えていません。半導体やテレビが大きな赤字を出しましたが、それに替わる製品がありません。経営者はクラウドなどのバズワードを繰り返しますが、このようなバズワードは大きな市場にはほど遠い状況です。電機産業の状況は、日産やJALよりも深刻なのかもしれません。

 日本の電機産業復活には、自分の頭できちんと考え、言うべきことを言う人が重用されるように企業風土を変革し、そのような人が、新しい製品やサービスを開発するまでの長い時間が必要となっています。

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