「お客様は神様です」と言っていた歌手がいました。ビジネスでも同じことを言う人がいます。しかし、それは間違いです。ビジネスでは、お客様は神ではありえません。何をもって、神というのでしょうか。
もちろん、創造主の意味ではないでしょう。お客様のいうことは、何でも言いなりにならなくてはいけない、と考える人はいるかもしれません。大企業で大口顧客を相手にしている人は、とにかく窓口となっている人の言いなり何ならなくてはいけない、と考えるかもしれません。しかし、少し考えればわかりますが、お客様の言いなりになっていては、ビジネスは成り立ちません。
お客様は大切にしなければならないという意味で、「お客様は神様です」と言う人もいるかもしれません。人は皆、一人の人格として大切にしなければいけません。そうすると、人は皆、神様になってしまいます。「神様」という言葉の使い方として不適切です。
お客様は偉く、お客様の気持ちをくみ取って、なんとか仕事をしなければならないと考える人もいます。これが過ぎると、発注元として当然のことをしない人が出てきます。自分たちの発注仕様を明確にせず、請負側に推測させようとします。発注仕様をあいまいにしておき、請負側に負担を押しつけようとしているとも勘ぐれます。さらにひどい例になると、お客様から違法な要求をされ、それに従って逮捕される人もいます。お客様とのつきあい方を間違っているというべきです。
お客様が自ら「お客様は神様だ」などと言う人もいるかもしれませんが、何をか言わんやです。
お客様は、ビジネスの相手であり対等です。ものなりサービスなりを提供することにより、その対価としてお金をもらうビジネスの相手です。それ以上でも、それ以下でもありません。