『売れるコンサルタントになるための営業術』は、著者の前著『コンサルタントのための“キラーコンテンツ”で稼ぐ法』の続きです。
前著で消化不良であったキラーコンテンツの作り方にも触れています。
先生業の構図
『コンサルタントのための“キラーコンテンツ”で稼ぐ法』で出てきた次の図が基本です。
どれも先生業と言われる仕事です。これらの仕事は似ていますが、本質的に違います。特にBゾーンとDゾーンの違いが大切です。
Dゾーンは対象が経営者です。セミナーに出席するにしても、自分で判断し、自分でお金を払います。内容に満足すれば、コンサルティング契約につながります。
Bゾーンの対象は雇われている社員です。セミナー出席の判断は会社がします。お金は会社が払います。セミナー参加者の満足が、会社のコンサルティング契約につながることはありません。
コンサルタントと士業の違い
『『売れるコンサルタントになるための営業術』』ではさらにコンサルタントと士業を区別しています。
士業は保有する資格が何をするかを示しています。弁護士、税理士、司法書士などは、資格を持っていなければ仕事ができません。
税理士、社労士、行政書士などは、毎月の経費伝票類の処理や月次の決算、税金の計算といった一定頻度で発生する処理がある仕事です。
ところが、コンサルタントは誰でも名乗ることができます。コンサルタントと名乗っていても具体的に何をしてくれるのかよくわかりません。毎月処理するものなどありません。
コンサルタントが仕事を続けるために、経営課題や問題をつくり続けているのではないかと疑われます。その結果、いつ契約を切られるかとビクビクすることにもなります。
コンサルタントは、期限を切ってクライアントの課題を解決することが仕事です。半永久的に続けるものではありません。
そのため、自ら営業活動をしなければなりません。予算に販売促進費を計上しなければなりません。
紹介で仕事が途絶えないというコンサルタントもいますが、自分で顧客を開拓できなければ下請け業と同じです。生殺与奪の権を他人に握られていることになります。
また、士業では、地域、対象企業、業種などによって専門性を高め、差別化する手法が有効です。
一方、コンサルタントは、「通信販売」「○○営業」「会員制」「ブランド戦略」「○○人事」「○○式人材育成」「リピート戦略」……といった手法による専門性で差別化を図ることが有効です。
コンサルタント営業の3つのツール
コンサルタントにとって、セミナーは商談活動です。そこで使うべき3つの営業ツールがあります。
コンサルティングの案内リーフレット
コンサルティングで提供する商品・サービスの案内です。そこには次の要素が必要です。
- コンサルティングの方針、考え方
- コンサルティングの具体的な内容
- 標準的な実施期間や回数、一回の訪問時間
- コンサルティングをお薦めする会社像
- コンサルティングの特徴
- コンサルティングの進め方
- 料金や支払い方法
- コンサルタントの紹介やプロフィール、実績、会社情報
- お客様の声、利用者の声
申込書
人は申込書を見れば、「判断をしなければならない」と考えます。意思決定をしてもらうために、申込書が必要です。
案内リーフレットも申込書も紙面で用意するのは、セミナー会場を出た後でも思い出してもらうためです。
申込書に入れるべき情報は以下のとおりです。
- コンサルティングの主な内容、対象者や対象企業
- コンサルティングの具体的な内容
- 期間や回数、一回の訪問時間
- 料金や支払い方法
- コンサルタントおよび会社情報
- 申込み方法
- 申込み記入欄
この他、個別相談、スポットコンサルティング、お試しコンサルティングなどを行う場合は、チェックボックスなどで申込みできるようにします。
個別相談などは、本体のコンサルティングをご契約いただければ、個別相談の金額は全額充当するという方法もあります。
コンサルティングブック
コンサルティングブックとは、コンサルティングの詳細な内容をわかりやすく一冊のバインダーに綴じた営業用ツールです。実施内容や工程を具体的に示すツールです。
コンサルティングという目に見えないサービスを、具体的に手に取って見てもらえる形にすることで、導入を検討しているクライアントに対し大きな説得力を発揮します。
また、コンサルティングブックには、ノウハウを体系化する意味もあります。
おわりに
前著の『コンサルタントのための“キラーコンテンツ”で稼ぐ法』は、先生業の構図をきれいにまとめていましたが、独自のキラーコンテンツの作り方が消化不良でした。
『売れるコンサルタントになるための営業術』では、そこを手法による専門性で差別化と説明しています。最も重要な部分ですので、そこをもっと掘り下げて説明して欲しかったと思います。
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