現在の日本電機業界の状況を簡単にまとめると次のようになります。
1.部品を組み合わせれば誰でも完成品を開発できる
2.組み合わせるだけの製品を日本国内で生産していては人件費の安い国に対抗できない
3.円高が追い打ちをかける
4.世界の中での現状認識が足りない
日本電機業界復活のためには、この状況を認識し、脱却する必要があります。すなわち、次のような対策が考えられます。
1.汎用品の生産をやめる
2.日本国内での生産をやめる
汎用品の生産をやめた場合、現在の従業員を養っていけるだけの売上・利益があがる代替商品を見つけなければなりません。国内生産をやめた場合は、現在の生産現場の従業員を海外に移転しなければなりません。現在の日本の法律では、国内生産現場の従業員を解雇して、新たに海外で従業員を採用することはできません。
結論は、国内で生産しても十分な売上と利益を確保できる商品を開発するか、海外で事業をするかしないかぎり、日本電機業界は生き残れないということです。本書にあげられている例の中では、国内で生産しても対抗できる商品としては、電子部品があります。ただし、市場規模から中堅企業に限られます。サービス業も国内でのサービスであるため、国内企業に有利です。海外では、新興国のインフラ事業です。早急に、これらに向けて舵をきらないかぎり、日本電機業界はなくなります。