企業は組織であり、アリの社会も組織であるというところから、企業とアリを比較して論じられることがあります。
『「エッ!!アリが過労死?」―生産性向上が組織を滅ぼす!?:日経ビジネスオンライン』という記事を見かけましたので、企業とアリの似ている点、違う点について考えてみます。
年を取ると危険な仕事をやる
アリは危険な仕事は年を取ったアリがやるそうです。若いアリに危険な仕事をさせ、死んでしまうのはもったいないためです。寿命が少なくなった年寄りが危険な仕事をやるそうです。
組織にとっては合理的です。
ところが、企業ではこのようなことはあまり見られません。東京電力が、50歳以上の社員は福島第一原発で働くことにすると報じられたくらいです。
そもそも企業では労働災害を起こさないようにしています。危険な仕事自体をなくそうということです。
体力的に若い人が適した職場のほうが、事故が起きやすいという面はあるかもしれません。そのため、たまに報道される事故では若い人が事故に巻き込まれることが目につくのかもしれません。
身体の大きいアリは戦いで真っ先に逃げる
身体の大きなアリには、硬く大きな食べ物を砕いて運べるようにする役割があるそうです。
身体が大きくなるまでには時間がかかりますので、身体の大きなアリは、アリの組織では貴重な資源です。
そのために、他のアリとの戦いが起きても、戦いに参加せず、真っ先に逃げるそうです。
企業でも、貴重なノウハウや技量をもった人は貴重です。貴重な人を大事にするところは似ています。
組織を個体より優先することはない
アリの組織では、組織を優先して個体が損するようなことは広まりません。個体が損をしていては滅びてしまうためです。
企業でも同じかもしれません。組織の論理を優先し、個人をないがしろにしていては、社員のモチベーションが下がります。やめていく社員も増えます。
そんな企業はつぶれていくことになります。
現在、ブラックと言われていた企業は、人が集まらなくなっています。個人より組織を優先した企業が、滅びていく典型的な例となっています。
よく働くアリは早く死ぬ
良く働くアリは早く死ぬそうです。体にガタがきて早く死にます。
ミツバチは、花がたくさんありすぎると、いつも蜜を採りに行き、どんどん死んでしまうそうです。その結果、ハチのコロニーは滅びてしまいます。
花がたくさんありすぎると、働き過ぎて滅びてしまうというのは教訓的です。ハチは自らバランスを取ることができないようです。
人間でも過労死する人はいますが、その前に仕事を変える人もいます。過労死する社員がいる企業は滅びるという面では似ています。
集団に従わないアリが新しい道を切り開く
アリの中には、集団に従わないアリがいて、そういうアリが新しい食べ物までのルートを発見するそうです。
人間も同じです。異端児とかひねくれものと言われる人が新しい発見、発明をします。みんなと同じことだけをしている人が、新しいものを生み出すことはありません。
日本の企業でも変人と言われた人が、新しい発明をしてきました。
しかし、効率を優先した結果、斬新な商品が生まれなくなり、業績を落とした企業の枚挙には、いとまがありません。
まとめ
企業もアリの社会も組織であるため、よく似ています。
異なっていたのは、年を取ったアリが危険な仕事をするところです。
人間社会では、知識や知恵がアリの社会より重要です。知識や知恵を豊富に持つ年寄りであれば、貴重な人材となります。
身体の大きなアリが戦いに参加しない理由と同じで、知識や知恵が豊富な年寄りは危険な仕事はしないのかもしれません。