日経ビジネスオンラインに『社会的に容認???定年後再雇用「年収3割減」』という記事がありました。
東京高裁は2016年11月2日に、定年前と同じ仕事内容で賃金が一定程度減額されることについて、「一般的で、社会的にも容認されている」との判断を示しました。
運送会社のトラック運転手3人が定年を迎えた後、1年契約の嘱託社員として再雇用され、仕事内容も責任も定年前と変わらないにもかかわらず、年収が3割ほど下げられたことについてです。
日本では、会社の就業規則により定年が決められています。
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律により、会社が定年を定める場合には、満60歳以上としなければなりません。
さらに、高年齢者雇用安定法は、本人が希望すれば65歳まで雇用することを義務付けています。(経過措置あり)
その結果、多くの会社では、60歳を過ぎると再雇用などにして、待遇も年収も落としています。
今回の裁判では、仕事内容も責任も変わらないにもかかわらず、年収が3割ほど下げられたことが争われています。
男性と女性がまったく同じ仕事をしている職場で、女性だけを嘱託社員にして、仕事内容も責任も変わらないまま年収を3割下げることは、今の日本では許されないと思います。
今の日本では、年齢による差別が「一般的で、社会的にも容認されている」ということです。
ちなみに米国では、40歳以上の労働者に対する年齢を理由とした就職差別は、連邦法によって禁じられています。
その代わり、能力的な理由による解雇が認められています。
優秀な労働者にとっては、米国の制度が有利なことは言うまでもないことです。
日本では、一定の年齢で一律に退職を余儀なくされます。
定年制を廃止するためには、能力的な理由による解雇を認めないと、会社が成り立ちません。
解雇に制限がある以上、年齢差別を「一般的で、社会的にも容認されている」と判断してもやむを得ないと考えられます。
この年齢差別に立ち向かうためには、独立起業するという方法があります。独立起業すれば、健康の許す限り、好きなだけ働き続けることができます。