コンピュータシステム、航空機、医療などの事故の原因が、ヒューマンエラーとされる場合があります。ヒューマンエラーは少なくすることはできますが、ゼロにはできません。
機械の故障をゼロにはできないことと同じように、人間の間違いをなくすことはできません。ここでは、そのヒューマンエラーを防ぐための方法を考えます。
1.基本的な確認の徹底
どのような仕事にも基本的な確認事項があります。チェックリストとなっているはずです。それを愚直なまでに徹底することが一番大切です。
基本の確認事項は、先人たちの経験から導き出されたものです。なぜその確認をするのか、全員がきちんと理解していなければなりません。
事前準備は念入りに行い、役割を適切に分担します。それぞれの役割・専門に応じてリーダーシップを発揮して、安全で質の高い業務を遂行できる雰囲気・環境をつくります。
確認は目的意識を持って、意識的に行わなければいけません。確認の感度は目的意識の強さに比例します。五感すべてを使い、何となくおかしいという第六感も無視できません。
勘違い、思い違いを防ぐために複数の人で作業することが大切です。また、大局的な見方、全体の流れを把握することも必要です。特に緊急時は、確認の優先順位を適切につけなければいけません。
2.チームマネジメントの確保
管理者は、当たり前の基本的確認をきちんと徹底している人をほめて、評価し、それなりに処遇しなければいけません。基本的確認をきちんとする人を高く評価する組織風土が必要です。
おかしなことがあれば、みんなが何でも言える雰囲気を作り、維持しなければいけません。完璧な人などいないことを認め、誰もが、自由に質問・確認・提案が、できなければいけません。
事故は、上司のいうことであれば、おかしいと思いながら言われたとおり行動するような組織で起こります。全員が主体的に行動しなければいけません。そして、そのような行動が推奨されていなければいけません。
3.コミュニケーションの活性化
ヒューマンエラーのほとんどは、コミュニケーションミスにより発生しています。明確で、正確で、簡潔なコミュニケーションを心がけなければなりません。コミュニケーションミスを防ぐためには、確認が欠かせません。確認をもってコミュニケーションは完結します。
コミュニケーションは、視覚情報、聴覚情報、言語情報の順に重要です。基本は、顔を合わせて話をすることです。それができなければテレビ会議、それもできなければ電話、それもできないときが電子メールになります。
顔を合わせて話ができれば、五感をフル活用して情報収集できます。テレビ会議では、視覚と聴覚だけになり、電話では聴覚だけになります。
まとめ
ヒューマンエラーは少なくすることはできますが、ゼロにはできません。ヒューマンエラーによる事故を個人の責任にすることは間違いです。ヒューマンエラーが事故につながった設計や組織の問題点を分析し、再発防止策に力を注ぐことが必要なことです。