科学の世界ではある確率で発生する事象があります。タバコと肺がんの関係などもそうです。
タバコは肺がんになる確率を何倍にも高めますが、タバコを長年吸っていても肺がんにならない人もいます。
科学的リテラシーの低い人は、それを持ってタバコと肺がんの因果関係はないと考えます。
放射線被曝の影響も確率の問題です。そのため、「ほぼ安全と言える水準にある」とか、「明らかな健康上の影響が出るとは考えにくい」といった断定を避ける言い方にならざるを得ません。
それが、科学的リテラシーの低い人たちの不安をあおることにもなります。
そのため、細かいことを無視して断定すべきという暴論もありますが、人により考え方が異なるため、断定はできないはずです。
『至高の逃げ腰、究極の鼻血:日経ビジネスDigital』では、『美味しんぼ』の放射線被曝と鼻血の問題を取り上げ、次のように書かれています。
われら一般人には、多方面の情報をクロスチェックする知識も時間も無いからだ。
… 中略 …
「○○地区で生活している限りは」
「××を一日○グラム摂取しても」
という限定を付した上でなら「安全」を宣言してもよいはずだ。
ここはやはり確率や統計についての知識と考え方を広め、最終的な判断は個々人が自分で行うべきです。
過去の実験結果等から、どれだけの放射線被曝があれば、どのような健康上の影響がでる確率がどれだけあるかはわかります。
少量・長期間の放射線被曝に関するデータは、ほとんどないこともわかります。自然放射線以下の量の放射線を気にしても意味がないこともわかります。
そのうえで、個々人が判断して、自分の行動を決めるべきです。
中学以降の数学なんか、実生活になんの役にも立たなかったという人もいますが、少なくとも確率と統計についてはきちんと学ぶべきです。
一般人には、そのような知識も時間もないと、お上に判断を任せてしまうような態度こそ避けるべきものです。
お上も間違うだけではなく、しばしば都合の悪いことを無視したり、隠したりすることは、よくわかったはずです。