年金は削られ、支給開始時期も遅くなります。定年を迎えても、社会とのつながりが欲しいと、シニア起業する人も増えています。
起業に関する本を読んだり、人の話を聞いたりして得た、起業に大事なことをまとめておきます。
1.市場の有無
一番大切なことは、やろうとしていることに市場があることです。需要があることです。需要が無いことを始めてもお客様は見つかりません。
スティーブン・R・コヴィーの『第8の習慣』では、才能、情熱、良心、ニーズの重なるところをボイスと呼び、自分のボイスを見つけ、人のボイスを見つけられるよう助け合おうと言っています。起業においては、才能、情熱、良心の重なるところの前に、ニーズがあることが前提です。
独りよがりに需要があるはずだと思い込むことは危険です。きちんとした裏付けをとりたいものです。
そうは言っても、やってみないと分からないことはあります。その場合には少しずつ始めることです。
2.差別化
次に重要なことは、どのように差別化するかです。USP(Unique Selling Point)を見つけるとも言えます。他の会社や人に負けないものがなければなりません。
市場のセグメントを分けて、そこで一番になることはよく行われます。地域や年齢などの属性を掛け合わせれば、自分が一番になれるセグメントを見つけられます。一番になったセグメントから、徐々に対象とする市場を広げていきます。
他に誰もやっていないことでも、後から誰かが参入してくることが考えられます。その場合でも、差別化できることをあらかじめ見つけておいた方がいいことは、言うまでもありません。
3.大きな投資がないこと
個人が起業するときには、大きな投資がないことが必要です。起業がはじめからうまくいくことはありません。何回も試行錯誤が発生します。最初に大きな投資をしてしまうとやり直しができません。
事務所を借りずに自宅でできないか?店を借りるのではなく、屋台のような移動販売はできないかなど、投資が少なくなる方法を考えることが必要です。
4.仕事の内容
起業して、うまくいっている人の仕事の種類は、そんなに多くありません。代表的なものは次のとおりです。
講師・コンサルタント
セミナーの講師、コンサルタントなどをやっている人はたくさんいます。アドバイザー、顧問などと名乗っている人もいます。
要は世の中で求められている情報を教える仕事です。自分が学んできたこと、経験してきたことを教えることです。自分独自のコンテンツであれば、リスクはほとんどありません。
自分独自のコンテンツではなく、他人が作ったコンテンツを教える講師業をやっている人もいます。その場合、そのコンテンツを教えるライセンスを得るまでに、それなりの費用と時間がかかります。
執筆活動につなげていく人も多いです。本の出版だけで十分な収入のある人はほとんどいません。誰もが知っている有名人ぐらいです。出版は、ブランディングのためのプロモーション活動と考えた方がいいと思います。
営業代行
他の人の商品やサービスの営業をする仕事です。売り主と買い主の間を取り持つ仕事です。
ブログ等で商品やサービスを紹介するアフィリエイトもここに入ります。アフィリエイトは隙間時間で始められます。
会社勤めをしていた人が、在職中の人脈を使って行う場合もあります。こてこての人間関係がものを言う業界では有効です。
エステサロン等
自宅でやれば、エステサロン等は個人で小さく始められます。他の店で身につけた技術を活かせます。
5.起業で避けるべきこと
独立・起業するときに避けた方がいいことがあります。
独立したら仕事を回すからと言われ、独立した人がいます。しばらくは仕事が来ていましたが、その人が異動になるとピタリと止まったそうです。会社が倒産する場合もあります。仕事を一か所だけに頼ることは危険です。
独立して、以前勤めていた会社の下請けとして働く人がいます。下請けとしての弱みもあり、無理を聞かなければならないこともあります。断れば次の仕事は無いかもしれません。一般的には、会社勤めのときよりも仕事はきつくなります。
フランチャイズは、労働法上の権利を放棄した名ばかりオーナーでしかありません。休日もなく、残業手当もつきませんが、自分で決められることはほとんどありません。
おわりに
起業というと、画期的なビジネスモデルで始めるというイメージを持つ人もいます。画期的なビジネスモデルなど、そんなに思いつくものではありません。うまくいくかどうかは、やってみなければわかりません。
起業するために画期的なビジネスモデルは必要ありません。市場があり、差別化ができれば、起業はできます。
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