インターネットに規制が必要かという議論がテレビで行われました。
「ネット犯罪」はホリエモンやひろゆきのせい? TVタックルで大激論 | キャリコネニュース
これを読む限りは、意味のある議論になっていません。テレビでやる議論は視聴率を上げることが目的で、真摯な議論を期待する方が無理です。
この議論のなかに「インターネットの実名化」ということがあります。
発言者に責任感をもたせれば、悪質な書き込みなどが減るという主張だ。韓国では2007年に導入され、ユーザー登録には実名のほか、住民登録番号を明記するなど本人確認を義務付けている。
中略
しかし、ひろゆき氏は「韓国でも犯罪減っていないので。結局意味がない」とあっさり言い切り、堀江氏も「実名だろうと、昔からバカなことをやるやつはいる。有効な対策に成り得ない」と同意した。
出典:キャリコネニュース
確かに、インターネットを使うときに実名を明らかにしなければならないとすれば、ネット上の誹謗中傷、罵詈雑言は減ります。
ひろゆき氏は犯罪が減るかどうかに、議論をすり替えています。堀江氏は「実名だろうと、昔からバカなことをやるやつはいる」と、数が減ることと、ひとりでも存在することを混同しています。
インターネットリテラシーの低い人たちには、ネットでは名前がばれないと勘違いしている人が大勢います。インターネットを使うときに名前を明らかにすれば、こんな勘違いをする人もいなくなります。
問題は、どうやって実名を義務づけるかです。特定のサービスだけを義務づけても、そのサービスを避け、他のサービスを使われては意味がありません。
Facebookは実名での登録を義務づけていますが、Google+を使えば実名を使わずにすむということです。また、Facebookも全員が実名ではありません。
仮に日本の法律で義務づけたとしても、海外のサービスがあります。海外のサービスを使えなくするわけにもいきません。
現在、プロバイダーに対し利用者の開示を求められるのは、警察が犯罪調査をするためか、裁判所から開示命令が出たときぐらいです。これを誰でも簡単にできるようにする手はありますが、そのためには、通信の秘密に関する法律の改正が必要です。
仮に法律を改正したとしても、インターネットリテラシーの低い人たちが、その意味を理解できるとは限りません。意味が理解できなければ効果はありません。
むしろインターネットは匿名ではないことの啓蒙活動が有効です。
インターネットは匿名ではなく罪を犯せば捕まることをインターネットリテラシーが低い人たちに知らしめることが、インターネットの実名化よりも合理的です。