「悪魔のように賢い悪意あるハードウェア」に関する記事がネットに流れていました。
「悪魔のように賢い」とGoogleのエンジニアが舌を巻く「悪意あるハードウェア」が登場 – GIGAZINE
「悪意あるハードウェア」とはハードウェア的バックドアが組み込まれたプロセッサのことです。
プロセッサにバックドアを組み込み、特定のトリガーを受けると、論理ゲート内のコンデンサに電荷を蓄え、閾値を超えると、マルウェアがOSにフルアクセス可能になるようです。
電荷が閾値を超えるというアナログ手法を用いているため、デジタル的な方法ではバックドアを見つけることができないことが、「悪魔のように賢い」という表現になっています。
しかし、このバックドアを組み込むことができるのは、プロセッサの設計者だけです。
仮にプロセッサメーカーがプロセッサの設計を外注したとしても、外注先のプロセッサ設計者が悪意を持って組み込まない限り「悪魔のように賢い悪意あるハードウェア」はできません。
「悪意あるハードウェア」を研究室で作り出せたとしても、世の中に出回っているプロセッサに組み込むことは、不可能に近いはずです。
何を持って「どこかで動作している」状態にあると言うのかわかりません。自分の発明をセンセーショナルに扱ってもらいたいがために、過剰な表現となっています。
確かに「悪意あるハードウェア」を検出することは不可能に近いかもしれません。しかし、誰にも知られずに、バックドアを仕掛けたプロセッサを出回らせることも、より不可能に近いはずです。
可能性があるとすれば、プロセッサの設計を人工知能が行うようになったときです。その人工知能が人類への反乱を企て、市販されるプロセッサに「悪意あるハードウェア」を組み込むかもしれません。
ハードウェアでもソフトウェアでも、複雑になると人間はすべてを理解することができなくなります。
人間がすべてを理解できなくなったものは以前から存在します。
数十年も前から、商用に使われているOSは、ひとりの人間が理解できる規模を超えたと言われています。
人工知能が人類を追い抜くのももうすぐです。
人間が理解しきれないものは、人工知能にまかせることになります。
そのときに、人工知能が悪意を持って人類に反乱しないようにしておくことが、人類の存続のためには重要なことです。
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