『タバコを嫌うエンジニアは多いが、同じようにローマ字入力も嫌うべきだ – latest log』というエントリがありました。
ローマ字入力は最良の入力方式ではないにもかかわらず普及してしまった結果、小学校でローマ字入力に矯正させられるということです。
これが本当だとすれば、ひどい話です。小学校であれば、すでにタッチタイピングを身につけている児童の矯正はすべきではないと思います。
ローマ字入力が普及した理由
ローマ字入力が普及したのは、少ない種類のキーで日本語を入力できるからです。
ローマ字では、次の19種類のキーだけで日本語を入力できます。
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小さいかなを入力するためにlも入れました。jなども使いますが、他の文字で代替できるので省きました。
これだけのキーの位置を身につけてしまえば、日本語を入力できます。これが初心者に対しハードルを低く感じさせます。
かな入力では46種類のキーの位置を身につけなければなりません。さらにアルファベットのキーの位置を別に26種類身につけなければなりません。
ローマ字入力の場合は、ローマ字で19種類身についていますから、残りは7種類ですみます。
ローマ字そのものは小学校で習っているため、特に高いハードルにはなりません。
ローマ字入力の短所
ローマ字入力の短所は、一文字当たりの打鍵数が増えることです。かな入力の1.5~1.7倍ぐらいになります。これが入力速度にそのまま影響します。
ローマ字を知らない人にとっては、ローマ字も学習しなければならずさらにハードルが上がります。
ローマ字入力が標準化された弊害
少なくともローマ字を知っている人にとっては、ローマ字入力が最も身につけやすい入力方式です。そのため、実質的にローマ字入力が標準となっています。
ローマ字入力とかな入力以外にも親指シフトなどの優れた入力方式はあります。しかし、ローマ字入力が実質的な標準となっているため、使えない場合があります。
かな入力はほとんど標準となっており、簡単に切り替えられますから、あまり問題にはなりません。
親指シフトなどエミュレータソフトをインストールしなければならない方式は、会社などでは使えなくなっています。そのため使えるのは、自分のパソコンだけを使っている人に限られます。
一昔前であれば、自分用にエミュレータソフトのインストールを許されたこともあります。しかし、セキュリティに厳しい現在では、個人がエミュレータソフトをインストールすることを許す会社は、少なくなっていると思います。
特に大企業の管理部門は多数のパソコンを管理しなければならず、個人の要求を個別に聞いている余裕はありません。認めてしまうとバージョンアップなどのたびに特別対応をしなければなりません。
お客様のパソコンを使っている人にとっては、エミュレータソフトのインストールなど、許可を申請できる立場でもありません。
会社ではローマ字入力、自宅のパソコンは親指シフトという使い方はできますが、混乱し入力速度も上がりません。
おわりに
キーボードの入力方式など、身体に覚えさせるものは、一度身につけてしまうと変更が難しいものです。それでも個人が使う方式を変えるのであれば、決心と練習で変えることはできます。
しかし、実質的に標準となった方式を変えることはできません。自動車のアクセルもブレーキとのふみ間違いを防ぐ方式が考案されていますが、普及することはありません。
それに対し、タバコをやめられない人の多くはニコチン中毒になっているためです。やめるためには適切な治療が必要です。