インターネットで新聞記事が無料で提供されるようになり、新聞がこれからどのように変わっていくか取りざたされています。しかし、まだ決定打は見つかっていないようです。
日本の新聞では、産経新聞がiPhoneやiPadで無料のものを紙と同じ内容で提供しています。日本経済新聞と朝日新聞は有料電子新聞の販売を開始しました。
米国の新聞では、the New York Timesが1851年からの過去記事の検索・閲覧ができるようになっています。有料の記事と無料の記事があります。日本の新聞で、ここまで過去の記事が検索できるサービスはないようです。
紙の新聞は、新聞社の判断による重要度に従って、見出しと記事の大きさと配置が決定され、印刷されています。配置はその日の記事の相対的重要度で決まり、見出しの大きさは絶対的な重要度で決まるともいえます。
そのため、重要な記事を素早く見つけ、手早く見ることに適しています。この面では、iPadなどのタブレット型PCでも、その大きさから紙にはかないません。
インターネットで提供される新聞記事は、速報性の面ではるかに紙より優れています。しかし、記事を新しいものから並べているだけのサイトでは、記事の重要度はわかりません。
重要な記事は、ひとつひとつ見出しをチェックして見つけるしかありません。記事の重要度に従って、見出しと記事の大きさと配置を決めているサイトであれば、新聞社の考える重要度は紙と同じようにわかります。
iPhoneやiPadで提供されている産経新聞は無料ですが、中途半端なものになっています。1日1回の更新ですので、速報性ではインターネットにかなわず、読みやすさでは紙にかないません。無料でiPhoneやiPadで読めるということだけがメリットです。
日本経済新聞と朝日新聞の有料電子新聞は、無料で新聞記事が読めるサイトがあるなかで、どこまで存在意義を見いだせるか疑問です。
日本経済新聞の電子新聞はiPadで紙の新聞と同じものが読めます。朝日新聞の電子新聞はiPhone、iPad、Androidのスマートフォンやタブレット型PCで、常に最新の記事が読めます。
どちらも紙よりも安く、紙と共に購読すると割引もあります。しかし、読みやすさは紙より劣ります。
おそらく、有料電子新聞の購読者は新しいもの好きで、iPadなどで読むことが好きな人だけだと思います。新聞記事は無料で読めるサイトがありますが、書籍には無料版はありません。有料電子新聞の購読者は、電子書籍の購読者よりも大幅に少ないはずです。
インターネット上の新聞記事が無料で提供されてきたなかで、有料電子新聞は商業的に成り立ちません。
近いうちに、過去記事の検索・閲覧を除き、有料電子新聞はなくなります。
新聞社は、広告収入で電子新聞を提供するビジネスモデルを打ち立てたところが生き残ります。
紙の新聞の広告と電子新聞の広告を棲み分け、広告収入による電子新聞のビジネスモデル確立が新聞社の喫緊の課題です。