ネット広告のクリックの88~98%がボットにより行われているというニュースがありました。
ネット広告のクリック数のうち88~98%はボットによるものだと判明 – GIGAZINE
これが本当だとすれば、ネット広告に大きな影響がありそうです。しかし、はたしてそうでしょうか、じっくり考えてみます。
リスティング広告
検索したときに検索結果と連動して表示されるリスティング広告の影響が大きそうです。リスティング広告は、クリックされてはじめて料金が発生するクリック課金制をとっています。
広告料金は、(クリック料金)×(クリック回数)が課金されます。クリック料金は入札形式で行われます。
このクリック回数の88~98%がボットによるものだとすれば、不当に高い広告料金を払わされていたという解釈も成り立ちそうです。
しかし、クリック料金は入札で決まっています。クリックしたからといって、その商品を買うとは限りません。
入札価格を決定するときは、クリック当たりの売上を考慮して決めるはずです。
そのため、広告主がGoogleに対し、クリックの88~98%がボットにより行われているという理由で、広告料金の返還を求めることはできないはずです。
Google AdSense
Google AdSenseは、ブログなどに掲載された広告がクリックされると、ブログの所有者に報酬が支払われる仕組みです。
Google AdSenseのクリック単価は、広告主がいくら出しているかで決まります。広告主は、クリック当たりどれだけの売上があるかにより、価格を決めるはずです。
すなわち、クリックされても大半は売り上げに結びつかないことは織り込み済みのはずです。
Google AdSenseでも、仮にクリックの88~98%がボットにより行われていることが証明されたとしても、クリック単価に影響がでることはないと考えられます。
結論
ネット広告のクリックの88~98%がボットにより行われているということが明らかになると、広告料金の返還訴訟やクリック単価の見直しが行われるように思われます。
しかし、広告料金もクリック単価も、経験的にわかっているCVR(Conversion Rate:サイトへのアクセス数のうち、商品購入などに至った割合)をもとに決められています。
仮に、ネット広告のクリックの88~98%がボットにより行われていることが証明されたとしても、CVRは経験値ですからCVRがが変わるわけではありません。実際にボットが88~98%なのか、もっと少ないのか、ボットの分はカウントしていないのかわかりませんが、いずれにしても、ボットの分は織り込み済みです。
ネット広告のクリックの88~98%がボットにより行われているというのは、衝撃的なニュースに思えますが、「やっぱりそうだったのか」と考えている人も多いのではないでしょうか。
今後、ボットの動きが少なくなれば、CVRも上がり、クリック数が少なくなる代わりに、クリック単価が上がると予想されます。
市場にまかせておけば、価格は適切になる典型的な例です。