イギリスの公教育では、プログラミングを5歳から教えることになったそうです。
プログラミングを5歳から教えるイギリスの公教育 – WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
電子機器の使い方ではなく、プログラミングです。ちなみにカリキュラムからプログラミングに関係する部分だけを抜き出すと次のようになります。
Key stage 1 (5-7歳)
アルゴリズムを理解する
簡単なプログラムの作成とデバッグKey stage 2 (7-11歳)
実世界や物理的問題を解決するプログラムの設計、作成、デバッグ
繰り返す作業をプログラムで実現する
なぜプログラムのアルゴリズムが動くかを理論的に説明するKey stage 3(11-14歳)
実世界や物理的問題を解決するプログラムの設計、作成、デバッグ
主要なアルゴリズムの理解(例:検索機能など)、異なるアルゴリズムの比較
2つ以上のプログラム言語の理解、最低一つはテキストベース
ブール代数を使用した簡単なプログラムの理解
私は、『プログラミングの義務教育化』にも書いたように、プログラミングの義務教育化には懐疑的です。
主な理由は、プログラミングができる人は限られるため、大量の落ちこぼれをつくるためです。
プログラミングでは、アルゴリズムを考え、抽象的な記号で記述します。アルゴリズムを考えることも、抽象的な記号を使った記述も、得意な人とそうでない人に大きな差があります。
数学でさえ、ちきりんさんが『下から7割の人のための理科&算数教育 – Chikirinの日記』で書いているように義務教育で行うことに疑問を呈する人がいます。
プログラミングは、因数分解や二次方程式よりも、実際に使えるようになる人も、使う必要がある人も少なくなります。
音楽や美術のように、自分で作れなくても楽しめるものではありません。プログラミングができない人が、他人の作ったプログラムを見て役に立てたり、楽しんだりすることはありえません。
プログラミングとは、コンピュータで動くソフトウェアを作ることです。コンピュータが動く仕組みを学ぶこととは違います。コンピュータなどの電子機器を使うこととも、もちろん違います。
車の運転をするために、車を自分で作れる必要はありません。せいぜい車が動く仕組みを知っていれば十分です。
しかし、才能のある子供が、早期からプログラミングを学ぶことを否定するつもりはありません。才能のある子供が、早期からプログラミングを学ぶことは良いと考えます。
プログラミング教育は、数学教育と似ています。才能のピークは若い時になります。才能を早期に見つけて伸ばすことが必要です。
音楽、美術、スポーツも同じですが、これらは、突出した才能がなくても楽しむことができます。ですから義務教育でやる意味があります。そこが、プログラミングと違います。
コンピュータ等の電子機器には早期から触れさせ、プログラミングに興味を持つ子供には、その環境を整えれば良いと思います。環境といってもパソコンとインターネットがあれば、必要なものはインターネットから手に入ります。
そのため、公共教育におけるコンピュータにおけるカリキュラムは、次のようなもので十分だと考えます。
Key stage 1 (5-7歳)
デジタルコンテンツの作成、管理、保存、活用、検索
学校外でのテクノロジーの活用
テクノロジーの安全な利用、個人情報保護Key stage 2 (7-11歳)
コンピューターネットワークの仕組みの理解
デジタルコンテンツの評価
様々なソフトウェアを使いこなす
テクノロジーの安全な利用、個人情報保護Key stage 3(11-14歳)
ハードウェアとソフトウェアの理解
異なるデータフォーマットがデジタルデータとして使用される仕組みの理解
コンピューターを使った創造的なプロジェクトの実施
テクノロジーの安全な利用、個人情報保護Key stage 4(14-16歳)
コンピューターサイエンス、デジタルメディア、情報通信に関する創造性、知識を強化する
論理的、コンピュータサイエンス的な考え方、問題解決の力を強化する
コンピューティングの変化を理解し情報を安全に使用する方法を理解する