コンピュータ処理の方法として、集中処理と分散処理があります。それぞれ一長一短があります。しかし、時代により主に使われる処理が変わっています。
初期のコンピュータ
最初のコンピュータは集中処理でした。集めたデータをまとめて処理していました。バッチ処理しかできなかったので当然です。
オンライン処理ができるようになっても集中処理でした。端末側ではキーボードから文字を入力し、オンラインでつながったセンターコンピュータに送っていました。コンピュータで処理した結果を端末に送信し、端末側では送信された文字を表示するだけでした。
インテリジェント端末
分散処理が行われるのは、インテリジェント端末と言われる端末が発売されてからです。端末だけでもデータ処理ができるようになりました。
しかし、端末側では簡単な処理しかできません。データを入力し、簡単なチェックを行うぐらいです。端末側で処理したデータは、ファイル転送システムでセンターコンピュータに送られました。
また、インテリジェント端末は、オンライン端末のエミュレータを動かし、オンライン端末としてもよく使われました。
このころの分散処理は、端末側でも簡単な処理ができるというだけのものでした。
クライアントサーバシステム
本格的に分散処理が動き出したのは、クライアントサーバシステムからです。
クライアントと言われた端末側にもプログラムやデータを持ち、センターコンピュータと通信しながら、処理を分担していました。
しばしば性能面での問題が発生しました。クライアントの処理速度やネットワークの回線速度が、処理の複雑さに追いつかなかったためです。
また、クライアント側のプログラムとデータの管理の問題が発生しました。クライアントのプログラムを修正した場合には、すべてのクライアントのプログラムをアップデートしなければなりません。
ネットワーク経由でアップデートができなかったときは、大変な手間がかかりました。
ブラウザ
クライアントサーバシステムの性能問題やプログラムとデータの管理の問題から、センター集中処理に回帰がありました。
ちょうどWWWが普及し、パソコンには標準でブラウザが搭載されていました。ブラウザがクライアント側のソフトとして使われました。
しかし、初期のブラウザでは、クライアントサーバシステムと比較して、ユーザインターフェースが貧弱でした。
入力データのチェックの貧弱さや応答の遅さなど、クライアントサーバシステムに慣れた利用者には耐えられないものでした。
リッチクライアント
ブラウザの進化に伴い、ブラウザでプログラムを動かすことができるようになりました。プログラムは、必要に応じてダウンロードされます。
クライアント側の管理の問題が解決され、ユーザインターフェースも改善されました。
クライアントもネットワークも高速・大容量になった結果、可能になった処理です。
まとめ
コンピュータの集中処理と分散処理は、シーソーのようにぎったんばったんしました。その時点での技術的制約に合わせて、長所と短所のバランスから、最適な処理が選択された結果です。
インテリジェント端末が使われていた時代に、将来はネットワークを経由してプログラムを送り、クライアント処理ができるようになると予言したところ、一笑に付されたことを思い出しました。