平成27年国勢調査が始まりました。今回からインターネットで回答できるようになりました。初めてということもあり、まだまだ改善の余地があります。
インターネット回答用IDと調査票と同時配布
私の家の郵便受けにも国勢調査の書類の入った封筒が入っていました。中には、調査対象者IDと初期パスワードを記載した用紙、さらに紙の調査票も入っていました。
これは、『国勢調査の流れ|国勢調査とは|国勢調査2015 キャンペーンサイト ‐ 総務省統計局』に書いてある説明と異なります。
サイトの説明では次のようになっています。
- インターネット回答用IDを世帯に配布
- パソコンやタブレット、スマホからインターネット回答
- インターネット回答のなかった世帯に調査票を配布
- 調査票の提出
私の家には、インターネット回答用IDと調査票と一緒に配布されました。この流れの方が合理的です。国勢調査員にとって同じ家を2度訪問するのは面倒です。
制度設計にあたり、国勢調査員の費用は固定と考え、手間が増えるのは気にしなかったのではないかと思われます。
国勢調査の封筒のポスティングは危険?
ネット上では、国勢調査の調査対象者IDと初期パスワードを記載した用紙の入った封筒が、外部から取り出せる状態で投函されていたと話題になっていました。
国勢調査のパスワード入り用紙、無防備に郵便受けに? 総務省「調査員の指導、行き届かなかったかも」 (1/2) – ITmedia ニュース
仮に、調査対象者IDと初期パスワードが盗まれたとしても、そのIDで国勢調査のインターネット回答ができるだけです。情報が漏えいするわけではありません。
それほど大騒ぎすることではありません。
『国勢調査の流れ|国勢調査とは|国勢調査2015 キャンペーンサイト ‐ 総務省統計局』を読む限り、国勢調査員は各世帯を訪問し「インターネット回答の利用案内」を配布することにはなっていますが、手渡すことにはなっていません。手渡すためには、不在の場合出直さなければならず、何倍も手間がかかります。
国勢調査インターネット回答のムダ
そもそも、調査対象者IDは世帯とひもづけられているのでしょうか?
少なくとも私が設計するとしたら、ひもづけしません。
ひもづけるためには、全国の住民記録データを集めなければなりません。それだけで多大な手間がかかります。
さらに、国勢調査員は配布時に、調査対象者IDと住所・表札を確認し、間違えないように配布しなければなりません。また、どんなに注意したとしても配布間違いはなくせません。
そこまでして、ひもづけたとしても、メリットはどの世帯がインターネット回答をしたかが分かりやすくなるだけです。
調査対象者IDだけで、インターネット回答した世帯か否かをチェックすることは無理があります。
配布された封筒には、調査区番号と世帯番号が書かれています。調査対象者IDを記載した用紙にも同じものが書かれています。
国勢調査員が、この番号と配布した世帯をひもづけて、インターネットで未解答の世帯を把握しているのかもしれません。どちらにしろ国勢調査員に負担を押し付けていると言えます。
改善策
国勢調査インターネット回答に調査対象者IDはいりません。
インターネットで回答する人は、自分のメールアドレスとパスワードを登録して、回答すればいいだけです。
中には複数のメールアドレスを使い、でたらめな回答をする人もいるかもしれません。しかし、本人になんのメリットもない上に、IPアドレスから突き止められ、罰せられる可能性もあります。
他の家のポストから調査対象者IDの入った封筒を抜き出し、でたらめな回答をする人とどちらが多いかという問題でもあります。
同一世帯で複数の人が回答してしまうかもしれませんが、インターネットで未回答の世帯を抽出するときに容易に見つけられます。
国勢調査はインターネットで回答できることをキャンペーンで周知し、未回答の世帯のみに調査票を配布すれば済みます。
「インターネット回答の利用案内」を全世帯に配布する必要はありません。
おわりに
国勢調査のインターネット回答は簡単です。10分ぐらいで終わりました。調査票に記入して、郵送したり、国勢調査員に渡したりするよりも手間がかかりません。
インターネットが使える人は、インターネットですました方が便利です。
今回の経験を踏まえ、次回の国勢調査では、改善された方法で実施されると思います。