だからデフレが長引く!『歴史から考える 日本の危機管理は、ここが甘い 「まさか」というシナリオ』

 危機管理は、常に最悪のことを考えなければならないという観点から、日本のデフレが長引いている理由を説明しています。実際の意図的な陰謀の有無は別として、日本のデフレが中国の経済成長に有利に働いていることは事実です。

 デフレ下での増税が行われようとしている現在、本書に示されている歴史とその理由を知っておくことは有益です。ここでは、本書の概要を紹介します。

 本書によると、日本がデフレになり、そこから抜け出せなかった歴史的経緯は次のようになります。

1973年、第1次オイルショック
1979年、第2次オイルショック
1980年代前半、米国で高インフレ抑制のため金利引き上げ実施、その結果、ドル高発生
米国で軍備拡張を含む大規模な財政政策を実施、その結果、双子の赤字となる
1985年、プラザ合意で、協調してドル安を実現することで合意、その結果、円高になる
日銀は、円高対策のため、公定歩合を引き下げ、この金融緩和がバブルの引き金となる
1990年代前半、過剰なバブル潰しでデフレになる
1997年、消費税増税で景気回復の機会をつぶす
1998年、省庁再編、財金分離の過程で日銀法改正、日銀が大蔵省(現・財務省)から「独立」
2000年、日銀がゼロ金利解除をおこない、景気を悪化させる
2006年、日銀が量的緩和解除

 これらの政策を採用した理由には、「素朴理論」があるとしています。政治と経済にまたがる「素朴理論」とは、次の8つの俗説です。

1.設計主義

 理性により合理的な社会を設計し、それを実現するためには犠牲をいとわないという考え方です。しかし、頭で考えた社会が妥当なものである保証はありません。その結果、権力者は自らの失敗を認めない残酷な独裁者となります。

2.エリート無謬説

 エリートは絶対無謬であるという考え方です。人間が無謬であるとは、あり得ない話です。

3.農本主義

 農産物は貨幣よりも貴いという考え方です。財政支出を増やす政治家はけしからんということになります。景気がよい状態は、異常な状態であるということにもなります。

4.重商主義

 「自国の輸出産業を育成、貿易黒字によって資本を蓄積して国富を増大させること」を目的とする考え方です。貿易黒字とは輸出と輸入の差額であり、国の利益ではないところをわかっていません。

5.技術立国幻想

 高い技術力により資源を加工して付加価値を生み出しているという考え方です。加工貿易は、高い技術力がなくても国際的な分業の中で成り立つビジネスであることを見逃しています。

6.資本収支幻想

 資本収支を重視する考え方です。外国への投資額が増えれば資本収支は赤字になり、黒字が「勝ち」を意味するものではありません。

7.財政均衡主義

 政府の収入を財源として、公債はなるべく使わない方が良いという考え方です。デフレで減った税収に合わせて政府の支出を削減すると、さらに景気が悪化します。

8.通貨高=国力幻想

 「通貨は国力を表す」または「基軸通貨で世界支配」という考え方です。円高と名目実効為替レートの間に相関が認められない例もあります。また、円高になったからといって、基軸通貨になるわけでもありません。

まとめ

 詳細は本書を読んでいただくとして、これらの「素朴理論」とプロパガンダの結果が、デフレの長期化につながっているというのが本書の主張です。

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